<在宅医療事始 ~医療連携、その現状と展望~>

 

皆さんの施設で、利用者さんが食事のおかわりをしたらどうするだろうか。特に施設に入居されている方々には、厳密にエネルギー計算された食事が提供されているであろう。

その時に、その人の年齢・性別・身長・体重・から「ハリスベネディクトの式」などを使って必要カロリーを計算しているとすると、それに十分見合う必要エネルギー量を満たしているお食事が提供されていることだろう。

 

ハリスベネディクトの式は基礎エネルギー量の計算式であって、その人が生きていくために必要最低限のエネルギー数を知るためのものだ。必要エネルギー量を知るためには、基礎エネルギー量をもとに、その人の活動係数と、一般的には疾患をもとにしたストレス係数を上乗せして計算することになる。その必要エネルギーを中心に献立を考えるときに、必要エネルギー量に合わせて食事を提供するだろう。それ以上もそれ以下もないはずだ。

 

 

「何を当たり前な」と言われると思う。確かに至極当たり前だが、この場合、患者さんが3食とも完食するという前提で食事を提供している。

 

つまりその方が、体調が良くなくて食事を残したとしても、提供された食事が気に入らないから残したのだとしても、結局のところは1日の必要エネルギーに満たない食事でその日を終わらせるということなのだ。それを積み重ねていくことによってその患者さん、また利用者さんは必ず必要エネルギーの足らない状態に至り、そういった日々が続けば、痩せていくことになる。低栄養状態から来る免疫力の低下または脱水状況から来る血圧の低下や濃縮尿の出現によって、肺炎、膀胱炎もしくは低血圧から来る意識レベルの低下というものが起こる可能性が高くなるのだ。

 

 

 

つまりわれわれは毎日のルーティンワークの中で、血圧の上下動や脈拍の変化、そして月1回でも良いので体重の測定をしていただくことによって、わざわざ採血などをしなくても、それらのデータをもとにその方の栄養状態が必要以上に低下していないことを確認できるのだ。

 

その上でわれわれはその方が毎日食事を全量摂取することは無いかもしれないという前提に立った食事内容の提供や、体重の変化等の推移を丁寧に追いつつ、栄養状態を確認し、食事量を増やしたり減らしたりするという配慮をするべきなのではないか。

 

 

患者さんの全身管理をしていく中で教科書に載っている前提だけではより良い管理はできないと心得て毎日の業務に当たってほしい。

 

 

 

 

髙橋 公一

医療法人社団 高栄会  みさと中央クリニック

埼玉医科大学病院 第一外科入局。消化器・一般外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺内分泌外科、移植外科、脳神経外科、小児科などを経験。2001 〜03 年に外科留学、移植免疫学を学ぶ。帰国後、埼玉医科大学に復職し、チーフレジデントを勤める。その後、池袋病院外科医長、行田総合病院外科医長を経て、08 年みさと中央クリニック開院。17 年に法人化。

 

 

 

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