独立行政法人福祉医療機構(WAM/東京都港区)は9月29日、2021年度の介護医療院の経営状況に関する調査結果を発表した。20年度に比べて経常利益率は低下、赤字施設の割合も増加している。

 

 

人件費負担大きく 入居状況は堅調

 

調査対象は、WAMの貸付先のうち、開設1年以上を経過している85施設。
入所利用率は92.9 % と20年度に比べ1.1ポイント低下したものの、高い水準を維持している。WAMでは「コロナ禍でも利用控えは無く、高いニーズがあると伺える」とコメントしている。

 

利用者1人1日当たりの事業収益は1万6457円で前年度比285円の増加。内訳では介護料収益は微減しているが利用料収益が約17%増加している。これについては「昨年8月からの食費基準費用額引き上げや補足給付の見直し、マスクなどの衛生用品の使用頻度上昇」などが理由と分析している。

 

このように、収入自体は堅調な一方で、従事者1人当たりの人件費が519万4000円と前年比17万9000円増、前々年度比で45万8000円増加するなど支出が増えた結果、経常利益率は前年比4.2ポイント減の4.4%、赤字施設の割合は前年度比8.5ポイントの31.8%となった(グラフ参照)

 

 

出所 : WAM

 

 

 

大規模施設は黒字割合高い

 

黒字施設と赤字施設を比較した場合、黒字施設の平均定員が85.1人なのに対し、赤字施設は平均定員57.3人(Ⅰ型の場合。以下同じ)と規模で顕著な差が見られた。

同様に黒字施設・赤字施設で大きな差が見られたのは、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)の算定率。黒字施設は74.4%が算定していたが、赤字施設では50.0%の算定率に留まっている。人件費率は、黒字施設57.8%なのに対し、赤字施設では70.8%となっている。また、入所定員10人当りの従事者数は黒字施設6.82人なのに対し、赤字施設8.25人。

 

 

このことからも、赤字施設は、処遇改善加算などを算定しないままに職員の給与引き上げなどを行い、結果的に人件費が経営を圧迫している、という図式が見て取れる。WAMでも「介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算は報酬単価も高い。可能な限り算定に向けて取り組むことが望ましい」とコメントする。

 

 

 

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