自宅復帰の事例も

 

科学的介護情報システム「LIFE」からのフィードバックデータについて、十分に活用できている事業所は多くない。

そうした中、ラポール(埼玉県上尾市)のホームでは、LIFE委員会がデータを分析、それを日々のケアに役立てている。その実践内容を紹介する。

 

 

 

ラポールは、介護付有料老人ホーム「らぽーる上尾」を運営する法人。定員数は140名。
今年4月、現場リーダークラスの職員、看護師、リハビリ職などを構成員とするLIFE委員会を発足し、データ分析と活用に乗り出した。

 

始めに着手したのが、ホーム独自のデータを集計すること。LIFEからのフィードバックデータは現在、全国の施設から提出されたデータを集計した平均値のみとなっている。そこでそれぞれの項目ごとにホームの平均値を算出し比較検討した。

 

委員の1人である三野宮正法介護係長は、「データをまとめて検討すると、ホームでは夜間の睡眠に課題があると分かりました」と語る。LIFEデータの「DBD13(認知症ケアに関する項目)」で、「特別な事情がないのに夜中起き出す」ことが「ときどきある」人の割合が、全国平均が15%であるのに対し、ホームでは25%と顕著な差があった。

 

これを受け、それぞれの現場で不眠傾向に当てはまる人がいないか検討し、該当した人については、栄養、排泄、運動、水分の4つの観点で問題がないか確認。見つかった課題についてはカンファレンスの際に共有することで、スタッフのケアの方向性を統一し課題の解消に当たるようにした。また、栗田薫介護係長は「看護師が医療的な部分だけでない、その人の全体像をよく捉えられるようになりました」と話す。

 

三野宮介護係長「この取り組みは緒についたばかり」であると話し、9月末までのデータを改めて集計し、効果のほどについて検討するという。

 

 

またフィードバックの前に、各種データを収集したものがケアに活かされている。

病院から受け入れたある利用者は、意識のレベルが低く、その人の各種データを収集すると入院中の検査時のアルブミン値が3.0と低いことが判明。「低栄養状態が意識の低下をもたらしている」と推理し、栄養の強化とそれに合わせて週4回1回20分の個別リハビリを提供。

 

当初コミュニケーションは職員の質問に返事をするだけであったが、次第にぽつぽつと単語で会話を交わすように変化。しっかりとした会話も可能になった。本人、家族が「最終的には自宅復帰をしたい」という意向であったことも幸いし、入所からおよそ5 ヵ月後、自宅へと戻っていった。アルブミン値は最終的に3.6へと改善していた。

 

 

こうした成功体験がスタッフのモチベーションを向上させており、今後はさらに施設のセンサーのデータも活用した科学的介護を実践していく方針だという。

 

栗田薫介護係長(左)と三野宮正法介護係長(右)

 

 

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