サンケイビルウェルケア(東京都千代田区)は、首都圏で介護付を中心に有料老人ホームを8拠点運営。高価格帯のホームを展開し、機能訓練や医療提供体制などで手厚いサービスを提供している。同社の佐々木ゆかり社長に、現在注力していることや今後について話を聞いた。

 

サンケイビルウェルケア
佐々木ゆかり社長

 

 

 

――サービスのコンセプトは。
佐々木 住宅型、介護付問わず、「入居者ができることを増やし、希望を叶える」のサービスを構築している。今後、サービス付き高齢者向け住宅を展開することとなった場合も、このコンセプトは一貫していくだろう。

 

 

―― 機能訓練について。
佐々木 各ホームに所属する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士複数名がチームとなり、シフトを組んで全ホームを巡回。リハビリ専門職による機能訓練を安定的に提供できる体制としている。新たな取り組みとして、フィットネスクラブを展開するルネサンスと共同で、音楽に合わせ行うウェブ体操を有料メニューで開始した。全ホームをオンラインで繋ぎ、同社のインストラクターがリアルタイムで指導する。現在、入居者の7割以上が利用している状況だ。

 

 

LIFE算定、全拠点で

 

――科学的介護(LIFE)への対応は。
佐々木 LIFEへの移行は非常にスムーズだった。初回から算定しており、現在の算定率は10 0% 。例えば、利用者が歩いてトイレまで行き自力で排泄できるよう介護スタッフがフォローする場合、おむつで排泄してもらう場合に比べスタッフの負担は大きい。〝自立支援のための介護〞をいきなり現場に求めても、すぐに実践することは難しいと感じる。介護職の日々の意識が重要になってくるが、当社では元々自立支援のためのケア体制・メニューを構築していたことで、そうした意識が醸成されていた。

さらに、グループのサンケイビルが当社のホーム開発を行ってきたため、トイレを多く設置したり、介護職の動線を考慮した設計とするなどハード面でも対応できている。現在、職員はスマートフォンからデータ入力をしているが、現場の状況を見てICTの活用方法を改善していく考えだ。

 

 

――医療体制もさらに強化している。
佐々木 元々各ホームに24時間看護師が常駐するなど手厚くしていたが、今年の4月より、東京医療センター名誉院長・医学博士・武田純三氏を顧問に迎え、同氏から全スタッフが定期的に医療的知識を学ぶ場を設けている。高価格帯で展開している以上、サービスの質には妥協しない。高いレベルのサービスを安定的に提供し、差別化を図ってきた。その分職員にも利益がしっかりと還元される仕組みを作りたい。

現在、退職金制度や人事制度、休暇制度を整備している。ネガティブなイメージも強い業界だが、職員が希望を持てる職場としていく。

 

 

――デベロッパー系の事業者として。
佐々木 足元では引き続きサービスの質向上に注力していく。将来的に、サンケイビルが開発してきた商業施設と住宅の複合施設の開発スキームを生かし、都心部やリゾート地に複合型高齢者施設を展開するのも面白いと考える。コロナ禍で新規開設は控えていたが、今後は年間1棟のペースで1都3県内、目の届く範囲で展開していきたい。

近年は世田谷エリアなどでの高級路線の展開が多くなっていたが、中価格帯のホーム開設も視野に入れている。

 

 

 

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