ロボテ(横浜市)の髙健一社長が、「ICT×医療×介護」をキーワードに話題の人や企業へインタビュー。今回はケアテック研究の第一線で活躍する九州工業大学の井上創造教授に、研究内容やそこから分かってきたことについて聞いた。

 

九州工業大学
井上創造教授

 

 

 

人材育成の鍵、成功体験

 

 

――髙橋 元々、ご専門がIT情報の専門システムとのことですが、医療・福祉分野に関わり始めたきっかけは何でしょうか?

井上 今、交通系ICカードなどが使われていると思うんですが、あのような技術を研究していました。

 

医療・福祉分野との関わりでは、最初のきっかけは、消防救急車において技術の活用が見込まれたことです。救急の現場では、怪我した方が複数人いるような事故の際、どこの病院に行ったか後で分からなくなることがあります。それをちゃんと追跡できるようにするものです。

今は救急のシステム自体は使われてはいないのですが、データを集めて分析するというところで、位置情報を使ったりすると色々わかるので、病院の中で看護師がどういう働き方をしているかとか、そういった研究を行っています。製品化という意味では介護分野で、大学発のベンチャーから「フォンログ」というアプリを出しています。それが介護記録のシステムとして使われています。

 

 

 

新たな研究センター設立

 

――髙橋 大学の研究室と実際の現場で想定と違っていたりすることが、色々起こりうるかと思います。

井上 現場での経験を通じて、最近私たちが大事だなと思っているのは、技術的にできるということだけではなくて、使う方が本当にそれを使いこなせる、成功体験をするということです。そこから、大学の方では「ケアXDXセンター」という研究センターを作りました。

 

 

――髙橋 そこに行くと、何ができるのでしょうか?例えば、試しにITを使ってみることができるのでしょうか?

井上 直接使ってもらうということはやっていません。そこは、大学発ベンチャーの「オートケア」という会社で実践しています。XDXセンターでは、ITやDXをサポートできる人材を育てています。人材を育てていくためには、どういうことをやればいいのか、どういうふうに成功体験を積めばいいのかというようなことを探っています。

 

 

 

――髙橋 ITをサポートしていけるような人材を、教育研修期間で教え、育てていくような場所でしょうか?

井上 本当のことを言うと、XDXセンターは研究センターなので教育はやりません。ただ研究で得られた、分かってきたことを人材に伝えていくところまではやりたいなと考えており、例えばさっきのオートケアという会社において、介護ITインストラクターという資格を用意し、初級、中級ぐらいまで会社の方で勉強会を開催しています。

 

 

 

――髙橋 ここ最近で見えてきたことはありますか?

井上 IT導入やDXを進める時、皆さん効率化のことだけをやはり考えてしまう。例えば、スマホで新しい機能が出てきたら、「これすごい」「かっこいい」と思う方もいれば、苦手な方からすると、そういうことをやると基本的に満足度が下がると思うんです。ITを活用できる人の満足度がどんどん上がっていくと、そうじゃない人はどんどん下がる。そこのギャップのことをあんまり考えてないのが、実は問題なのかなと。

 

心理的安全性という言葉があります。仕事する時に生産性が最も高いチームは、どういうことが大事だったかというと、心理的に安全であること。つまり、何か自由に発言をしても傷つかないということ。まずは、そういう状態を作り出さないと、ITの活用をしようという話はそもそもできないのかなと感じました。その辺りを、実践的に研究していきたいなと構想を練っています。

 

 

 

 

ロボテ髙橋健一社長

東京外国語大学卒業。米国留学後、ユニリーバなどで経験を積む。父親の病をきっかけに、高齢期における社会課題の解決を志す。ベネッセスタイルケアの企画経験を経て2014年にアカリエを設立。21年に、同社の「HRモンスター」事業など分社化、robottte(ロボテ)を設立した。

 

 

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