全国保険医団体連合会(保団連・東京都渋谷区)は10月12日、2024年4月より本格開始される「医師の働き方改革」に関するアンケート調査の結果を発表した。76.8%の病院が「病院における時間外・休日労働時間の上限を、全勤務医が毎月クリアしている」と回答している。
コロナ対応で残業など増加
この調査は今年8月に各都道府県の保険医協会を通じて、原則として会員のいる病院の院長・事務長あてにファックスで調査票を送信して実施したもので、736病院が回答している。
「病院における時間外・休日労働時間の上限をクリアできていない月がある」と回答した病院にその理由を尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「医師数そのものが不足」。以下、「新型コロナウイルス感染症対応で残業・休日出勤が多い」「委員会・研修などの要件増加」「診療報酬が抑制されて原資が少ない」の順となっている。
「医師の働き方改革で実施している・実施を予定している取り組み」(複数回答)では、「事務職員へのタスクシフト」がトップとなった。これ以外にも「看護職員へのタスクシフト」が5位、「薬剤師へのタスクシフト」が6位となっており、病院業務の中で医師以外でも可能な業務については適時他職種に移行していくことが医師の働き方改革では重要になると考えられる。
それ以外の上位回答は「医師の増員」(2位)、「職場環境・勤務環境の定期的な点検、改善」(3位)、「ICT等の技術を活用した医師の業務の効率化」(4位)となっている(表参照)。
改革実現に向け診療報酬増求む
また「医師の働き方改革を実現するために必要なこと」(複数回答)では、「診療報酬の引き上げ」「新型コロナの収束」「医療法や診療報酬の委員会、職員研修等の運営の緩和・合理化」などが上位となっている。
今回の調査結果について保団連では、「長時間労働は心身に大きな負担になるので、しっかりとした休日・休暇をとってリフレッシュした上で診療に臨むことが重要といえる。しかし、そのためには医師の養成・確保が必要である」とコメントする。
その上で今後必要となる施策として「医師の増員」「医療法や診療報酬の委員会、職員研修等の運営の合理化」「個別指導や適時調査の簡略化」「タスクシフト」「職場環境・勤務環境の改善」「診療報酬の引き上げ」などを掲げている。