大起エンゼルヘルプ(東京都荒川区)は、都内を中心に訪問系、通所系、入居系まで約70事業所を運営する。M&Aなどで現在、グループ法人は8法人に増え、事業の幅を広げている。売上高は大起エンゼルヘルプ単体で約38億円、グループ連結で約52億円。グループ一体での人事、教育体制構築、サービス均質化を図る小林由憲社長に話を聞いた。

 

大起エンゼルヘルプ
小林由憲社長

 

 

 

外国人採用、M&A機に加速 包括センター上階に小多機

 

――2016年には、藤沢市の湘南乃えんを子会社化した。
小林 湘南乃えんは、グループホーム、小規模多機能型居宅介護を主軸に事業展開していたこともあり、当社が近年注力してきた事業分野と親和性があったといえる。各拠点が1つの企業であるかのようなガバナンス体制が敷かれていた点も、興味深かった。

以降も、国内外の人材紹介事業を行うトレジャーや、訪問看護事業所を運営するアンジュエールなどをグループに迎え入れている。

 

 

――外国人人材の受け入れも本格化している。
小林 湘南乃えんの元社長で現トレジャー社長の甲斐裕章氏は、湘南介護人材協同組合の代表理事を務めるなど外国人人材事業に精通していたこともあり、M&Aを機に外国人人材の受け入れ体制の整備が進んだ。受け入れた技能実習生が特定技能に移行し、その後当社の職員として定着するまでの流れが構築できている。

 

グループ全体で3年前にベトナムから受け入れた技能実習生13名のうち8名が特定技能に移行し、当社で就労している状況。コロナで一時受け入れを中断していたが、来年には技能実習生15名の受け入れが決まっている。

 

 

――グループ法人が増え、体制に変化は。
小林 展開エリア、拠点数拡大につれ、個々の企業が独自性を維持しながらいかなる方向にグループ一体で進むべきかに、私自身の視点が向いてきている。今年の4月に「グループ一体化支援本部」を設置し、内部監査ルール、帳票や報告書、重要事項説明書など各種書類の統一を進めている。

 

教育体制については、勤務エリアに関わらず誰もが研修を受講できるよう、オンラインでの研修体制を構築した。もともと、「自分に必要なことを自ら獲得する」というのが当社の教育の基本方針。50種類を超えるオンライン講座をストリーミング再生し、各自が希望する講座を自由に受けられる。オンラインの利点を生かし、広島県の医療法人や山形県のNPO法人、名古屋の企業と提携し、講座の幅も広げているところだ。グループ内の垣根を超えた人材交流も始めており、専門職ごとに部会を作り主体的に勉強会なども開催してもらっている。

 

さらに、グループ内のサービスを均質化する点でICTは非常に有効な手段だと考えており、各事業所への同一の介護ソフト導入を進めている。

 

 

――小多機の展開も引き続き注力する。
小林 利用者の生活全体を支えていくことを考えると、これはとても理にかなったサービス。立ち上がりのスピード感、ケアマネジャーの内包化、基本報酬の傾斜などが指摘されるが、何が重大な問題かというのは明確でなく、事業者により抱える課題は様々だと思う。当社では現在5拠点で小多機を運営しているが、登録人数20名前後が損益分岐点であるということは見えてきた。

 

06年に初の小多機運営を始めた当時は、個々の利用者に応じたサービスをいかに組み立てるかについて試行錯誤した。サービスごとに定員があるため、単純に登録希望者を順番に受け入れていてはかえって登録定員に達する前に利用者を受け入れられなくなるといった難しさもある。そうした中、安定稼働のノウハウは構築できてきた。

 

新たな試みとして、地域包括支援センターの上階での小多機運営なども行っている。現在、23年2月の稼働を目指し、川口市で当社が運営する地域包括支援センターの上階のデイを小多機に転換しているところだ。どのような相乗効果が発揮できるか、検証していく。

 

 

――今後について。
小林 新規事業については、M&A、新規開設両にらみでと考えている。在宅サービスを事業の主軸に置きながら、周辺領域も手掛けていきたい。訪看も運営しているため、看護小規模多機能型居宅介護なども視野に入れている。人材面の取り組みにも引続き注力する。役職ではなくスキルを高めることを望む人材を評価する報酬体系や、看護師、保健師などの専門職の教育体制も充実化したい。

 

 

 

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