<在宅医療事始 ~医療連携、その現状と展望~>

 

前回、施設の利用者に食事を提供するにあたって必要エネルギー量を計算する際、その方が食事を完食する前提で準備をしてしまうと、常にエネルギーが不足してしまう可能性があることを説明した。その方の身長や体重、年齢から基礎エネルギーを計算してその通りに食事を提供すると、1日に必要なエネルギーしか与えないことになる。このとき、食べ残しや食べこぼした分は計算に入っていないためだ。

 

 

実はこれと同じことが水分摂取にも当てはまる。水分も、その方の必要量だけ提供していたら、飲み残しを考えずに準備を続けることになる。

施設の利用者の中には、自分で水分を取りに行くことができない方もいる。その場合、職員が準備した水分を摂る以外の選択肢がないので、常に不足してしまう可能性が高い。したがって水分摂取に関しても、常に必要水分量よりも2~3割増した量をその方に提供する必要がある。

 

さらに食事と違って水分は、一度に大量に摂取することはなかなか難しい。例えば500ccのペットボトルの水分を一気に飲み干すことは、年齢に関係なく容易ではないと皆さんも感じるであろう。しかし、500kcalの食事を食べることはそれほど苦痛を伴うものではない。コンビニの弁当を1個食べ切れば、500kcalどころか、700~800kcalも摂取することができるだろう。

 

 

 

つまり、こと水分摂取の話になったときには、単純に飲料を「飲む」方法だけでなく、水分を「食べる」ことも一つの選択肢として念頭において提供していただきたい。

 

わかりやすく言えば、水分をゼリーにする、夏場であればかき氷を用意するのも良い。水分の形態を変えるだけで、摂取量は一気に増えやすいのだ。極端な話、ゼリーをおやつ代わりにしながらお茶を飲むのも良い。
また、水分を準備するにあたっては、水、お茶、甘い飲み物、少し酸味のある飲み物、乳酸菌飲料など、水分を少しずつ、何種類も用意することによって、味を変えながら、いつの間にか沢山の水分を摂取できるように準備をするだけでも、自ずと摂取量は増えるものだ。

 

そういった小さな工夫の積み重ねによって水分摂取量を増やし、さらには目標とする水分摂取量の1割から3割増で準備することで、トータルとしての水分摂取量を目標以上にする。摂取できなかった日の分も補うくらいまで摂取できれば、脱水に至ることも未然に防ぐことが可能になる。

 

脱水による高齢者の様々な合併症やそこから来る体調不良の兆候については、次回またお話する。

 

 

 

髙橋 公一

医療法人社団 高栄会  みさと中央クリニック

埼玉医科大学病院 第一外科入局。消化器・一般外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺内分泌外科、移植外科、脳神経外科、小児科などを経験。2001 〜03 年に外科留学、移植免疫学を学ぶ。帰国後、埼玉医科大学に復職し、チーフレジデントを勤める。その後、池袋病院外科医長、行田総合病院外科医長を経て、08 年みさと中央クリニック開院。17 年に法人化。

 

 

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