東京都稲城市は今年度より、ICTを活用した在宅高齢者の見守りサービスを開始。睡眠解析センサーによるサービスとIoT電球によるサービスを展開し、見守り対象者を支援する家族などのネットワークを可視化することで、地域包括ケアシステム構築を目指す。

 

右から稲城市高齢福祉課高齢福祉係 荒井崇宏係長、村山紗希主事

 

 

 

「1人を皆で支える」意識を醸成

 

同市はこれまで、「対面」にこだわり在宅高齢者の見守り事業を進めてきた。週1回訪問員が高齢者宅を訪れ安否確認を行う「友愛訪問」、介護サービスを利用していない独居高齢者を対象に電話で安否確認を行う「ふれあい電話」、市内の約40事業所と協定を結び日常業務の中でゆるやかな見守りを行う「見守りネットワーク事業」などがその例だ。

 

 

一方で、「2025年、40年を見据えると、これまで対面で構築してきたこれらの取り組みを、ICTを活用し補完できないかと考えるようになりました」と高齢福祉課高齢福祉係の荒井崇宏係長は話す。ICT導入にあたっては、その意味や「ありたい町の姿」を定義し、ビジョンを作り込んでいった。

 

 

 

今年度より新たに開始した「在宅高齢者見守りセンサーサービス」では、東京ガス(同港区)と連携。同社がエコナビスタ社と共同開発した「ライフリズムナビ+ H O ME」を活用する。睡眠解析機能を持ったセンサーマットと温湿度計測センサーを寝室などに設置し、見守り対象者の家族や介入する介護事業者が、睡眠状態や生活リズムを専用アプリから確認できるサービスだ。

 

アプリよりエアコンを遠隔操作し、対象者宅の室温を管理することも可能。市内在住の一人暮らしまたは日中独居の要介護・要支援認定者に向けたもので、利用上限は月に27名、現在15名が利用中という。

 

 

また、「在宅高齢者見守り電球サービス」では、ヤマト運輸(同中央区)と連携。LED電球と通信機能が一体となったIoT電球を活用し、点灯・消灯の検知が24時間ない場合、事前に設定した通知先へメールで知らせる。対象者は市内在住の75歳以上の独居高齢者で、主に自立の人向け。設置上限は500人で、すでに160人が利用している。

 

 

 

「『対象者を支援する人々のネットワークの見える化』が大きなテーマです。本人を核とした小さな見守りのネットワークをたくさん作り、把握していく。これは地域包括ケアシステム構築に必要不可欠です」と荒井係長。「また、支援者や介護事業者にとっては、電気の点灯・消灯や睡眠などのデータは、サービス提供時間外の状態把握やモニタリング、アセスメントに活用できます」と語る。

市が先導して取り組みを進めることで、「1人をみんなで支えている」という意識を醸成していきたい考えだ。同じ集合住宅に住む「ご近所さん」や民生委員などが支援者となるケースもある。

 

 

 

これらのサービスは、都の高齢社会対策区市町村包括補助事業に採択されれば3年間全額補助を受けられることから、採択を見込み、利用料は無償としている。「来年度末で2年になるため、検証を行ったうえで効果が認められればその後も運用していく」(荒井係長)方針。

都の担当者からは「IoT電球を活用した取り組みはこれまでにいくつか挙がったが、そのほかのセンサーを活用した取り組みの申請は初めて。積極的に地域での見守りのネットワーク化を図っていこうとする意思を感じる」との反応があったという。

 

 

サービスの周知に当たっては「誰でも活用してください、と広く行ったわけではありません」と同係の村山紗希主事。「見守り」とは、要介護度だけで必要かどうかを判断できるものではないとの考えから、サービス利用の入口の見極めは慎重に行ったという。

 

 

「稲城市が行う見守りは、カメラや通報、駆付けといったものではなく、日常に寄り添い状態を把握する『やさしい見守り』です」と荒井係長は話す。対象者が「見守られている」ことを意識しすぎず生活できることから、利用のハードルが下がることもメリット。「必要とする方に十分にサービスが行き届くよう、適切な情報提供を進めていきます」(村山主事)

 

               

 

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