医療計画に新職種の記載追加

 

団塊の世代800万人が全て後期高齢者となる2025年まであとわずか3年だ。こうした中、24年から第8次医療計画がスタートする。このため国は医療計画の基本指針の取りまとめを年内に向けて行っている。医療計画における在宅医療の見直しを検討している国の検討会、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(座長:田中滋埼玉県立大学理事長、以下「在宅医療WG」)の検討も大詰めを迎えている。

 

 

在宅医療WGでは在宅医療に係る職種について検討を行っている。まず訪問看護師ついて見ていこう。

課題は訪問看護師の不足だ。25年には訪問看護師需要が11.3万人と現状より倍増する。しかし訪問看護師の求人倍率をみると20年現在で3.26倍と不足が深刻。特に大都市部で顕著となっている。このため第8次医療計画においては、大都市部の訪問看護師の需要見込みとその確保のための方策を記載することが必須だ。

 

 

次に第8次医療計画の在宅医療で新たに記載が予定される以下の職種を見ていこう。▽消防署職員▽歯科衛生士▽訪問リハ職▽管理栄養士など。まず消防署職員について。消防庁によると救急隊が出動したときに、心肺停止状態の場合、「患者が心肺蘇生を拒否する意思表示」を患者の家族から伝えられるケースが増えている。しかし調査によると消防機関の職員が二次医療圏に設置された在宅医療に係る協議の場に参加している比率は9.4%と、まだまだ少ない。このため第8次医療計画からは、こうした消防署職員を医療チームの一員として協議の場に参加を促すことになるだろう。

 

 

次に歯科衛生士について。歯科衛生士による在宅口腔ケアは高齢者の誤嚥性肺炎の予防に必須だ。この歯科衛生士の人数も06年の7.9万人から20年には14.2万人と倍増している。このため歯科衛生士の役割について第8次医療計画に記載することになりそうだ。

 

 

通院困難な利用者に対して、理学療法士、作業療法士、言語療法士が在宅に訪問して行う訪問リハ事業所は、21年現在、全国4950ヵ所に増えている。その77%が病院・診療所で、22%が介護老人保健施設となっている。訪問リハによる在宅患者の日常生活動作の改善効果も明らかだ。訪問リハ職を医療計画に記載し、そのさらなる普及を図ることが必要だ。

 

 

最後に管理栄養士について。管理栄養士による居宅療養管理指導を行う事業所数は15年の687ヵ所から20年には1116ヵ所と倍増している。しかしその事業所の都道府県分布にはバラつきが大きい。在宅では高齢者の低栄養が進行している。このため管理栄養士による訪問栄養指導を医療計画でもしっかりと記載すべきだ。

 

 

 

武藤正樹氏(むとう まさき) 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

1974年新潟大学医学部卒業、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中86年~88年までニューヨーク州立大学家庭医療学科に留学。94年国立医療・病院管理研究所医療政策部長。95年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉大学大学院教授、国際医療福祉総合研究所長。政府委員等医療計画見直し等検討会座長(厚労省)、介護サービス質の評価のあり方に係わる検討委員会委員長(厚労省)、中医協調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会座長、規制改革推進会議医療介護WG専門委員(内閣府)

 

 

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