令和4年度の下期に入って、来期の「組織」についての相談が増えています。介護事業は〝労働集約型〞のビジネスですから「組織」のあり方がとても大事です。

 

私がここで言う「組織」とは、次の6つを指します。

□各セクションの人員数
□チーム編成
□役職者の配置方法
□役職者の役割
□指示命令系統(縦のライン)
□横断型組織(委員会、専門職チーム、プロジェクトチーム)

 

これらを一つひとつ、しっかりと〝意図〞を持って考えるべきです。なぜなら、それぞれにおいて適切な意思決定ができれば組織はより強固になり、ちょっとやそっとのピンチでも揺るがない状態になるからです。

 

 

しかし、昨今の採用難や新型コロナウイルス、物価高による収益性の低下により、余裕をもった人員の配置が難しくなっています。前述のテーマにおいて、理想的な計画ができたとしても、その通りに実行することは困難かもしれません。そのような理由から最近は、多くの施設長が「主任クラスの適任者がいなくてとても苦労する」という悩みをもっています。

 

そこで今回は、主任などの「中間役職者」の任命ポイントをお伝えします。

 

 

 

意識してもらいたいポイントは5つあります。

 

①5人ごとにチームをつくる
組織論で良く言われるのは「優秀なリーダーが管理できる部下の人数の限界は7人である」ということです。となれば、標準的なリーダーの部下の数は、それより少ないのが適正数といえるでしょう。

私は、だいたい5人の職員に対して、1人の役職者を配置するように指導しています。ユニット型の特養をイメージしたらわかりやすいでしょう。だいたい正職員が4〜5名くらいで構成されています。加えてパートが数人。となると、全体の人数は7〜8人になりますから、ユニットリーダー1人、サブリーダー1人の合計2人の役職者を配置すれば、そのチームは安定するでしょう。

 

 

②「役割」を明確にする
役職者が、気が効く人物であれば幅広く活躍してくれるかもしれませんが、上司がいちいち指示しないと動けないタイプだったら、他の一般職と変わりないかもしれません。手当だけもらって働きがないのであれば、組織の〝お荷物〞にもなりかねません。

特に「サブリーダー」や「副主任」という補佐的な役職は、役割が明確でない組織が多いです。役割は明確にしましょう。

例えば、ある社会福祉法人では、副主任の役割を以下に決めました。□会議の声掛け(参加促進)
□会議議事録の作成
□会議不参加者への口頭伝達
□シフト調整のための声掛け
□日勤リーダーへの指導
□人事考課時のパート面談(フィードバック)

 

 

③〝伸びしろ〞で任命
前述のように「役職者にする適任者がいない」という声は、よく聞かれます。それは「すぐにでもリーダーが務められる能力がある職員」という条件で選んでいるからではないでしょうか。やったこともないのに、はじめからできる人など稀です。そうではなく、その人の〝伸びしろ(成長する余地、可能性)〞で任命しましょう。

 

 

④役職者研修
たとえその人物に〝伸びしろ〞があったとしても、やっているうちに勝手に成長するのを待っていては、時間がかかり過ぎます。即戦力になってもらうためには、役職者としてのスキルを身につける研修が不可欠です。テーマはこの連載を参考にしてください。リーダー、サブリーダークラスが身につけるべき知識、スキルは、施設長とそう大きくは違いません。

 

 

⑤次の候補者をつくっておく
新施設を開設したり、役職者がやめてしまったときに「誰にしたらよいか」と慌てないためにも、次のリーダー候補をあらかじめ決めておく(準備しておく)べきです。特に大きな組織では、経験年数や等級によって〝階層別研修〞を実施すると良いでしょう。ある宮城県の法人では2年目になると「先輩職員研修」、3年目には「指導職員研修」を受講します。また、2等級に昇級すると「次世代リーダー研修」を受講しており、役職者はその受講者から選ばれる仕組みとなっています。

 

 

新たな研修などは、年度初めの4月から導入する法人がほとんどでしょう。いまからなら、まだ十分に間に合います。ぜひ議論してみましょう。

 

 

 

糠谷和弘氏 代表コンサルタント ㈱スターコンサルティンググループ
介護事業経営専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「地域一番」の介護事業者を創り上げることを目指した活動に注力。20年間で450法人以上の介護事業者へのサポート実績を持つ。書籍に「介護施設帳&リーダーの教科書(PHP)」などがある。

 

 

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