社会福祉法人きしろ社会事業会(神奈川県鎌倉市)は、同市で在宅系サービスや施設系サービス、地域包括支援センターなど6拠点を展開。デイサービス、ショートステイの共生型への転換や、地域交流の拠点となる複合施設の開設など、地域共生社会をつくり上げる。他企業と提携し「利用者が役割を持てる」サービスを構築するなど、差別化にも力を注いでいる。

 

 

田尻充理事長

 

 

 

同法人は、2022年秋に介護保険のデイサービス2事業所を共生型デイに転換した。各事業所の定員35名のうち、年齢層も様々な障害者7~8名が通っているという。「障害福祉と介護、異なる制度を利用する夫婦が同じデイに通うのを見て、共生型サービスの魅力を改めて実感しました」と田尻充理事長は語る。

 

介護保険制度上の施設基準は障害者福祉より厳しいといった理由から、ハード面の転換も比較的容易。転換にあたり、特段の気負いはなかったと田尻理事長。国も地域共生社会の実現を掲げるなか、社会福祉法人が共生型に移行するのは当然の感覚だったという。「もちろん準備は必要。しかし“生活を支える”という点では、そこまで何かが大変になる訳ではありません」

 

有数の観光地である鎌倉市は、転入者が多い一方、高齢化率が30%を超え、介護の新規参入も多い。よくいわれる“コンビニよりもデイが多い”状況だ。「差別化のためには、常に何かを仕掛け、チャレンジしていかなければならない。共生型への転換には、そうした狙いもあります」(田尻理事長)

 

 

今年の8月には、法人で元々運営していた地域包括支援センターを移転する形で、共生型デイと地域交流ホールとの複合型施設「みちテラス」をオープン。交流ホールには、小さな図書館や授乳コーナーも設け、子育て世代も集える場とした。共生型デイは、利用者が簡単な仕事を請け負う「働けるデイ」にするという。

 

法人では、これまでも「役割を持つ」ことが利用者にとって重要と考え、市内の福祉施設や企業らと提携し、様々な取り組みを行ってきた。鎌倉の浜にうち上げられた海藻を法人の利用者が加工し、ブランド豚「鎌倉海藻ポーク」を育てるプロジェクトにも参加。葉山の農場の赤紫蘇を利用者が加工し、シロップを作るコラボレーションも行っている。「こうした取り組みは、法人のブランディングにもなります」(田尻理事長)

 

ブランディングは、採用面でも大きな意味を持つ。法人の「コンセプト」「カラー」「地域でのイメージ」が学生に与える影響は大きいという。学生向けの説明会では、デザイナーに依頼し細部までこだわり抜いたクレドブックやコンセプトブックを配布するなどの工夫を凝らす。毎年安定して数名の新卒採用ができているという。

 

「利用者や職員を集めるには、とにかく小さな“仕掛け”を沢山つくり、法人のイメージを形成することが重要と考えています」(田尻理事長)。自立や軽度の利用者が多く活動の幅も広い軽費老人ホームやデイでは、新しい仕掛けをつくりやすいという。

今後、ホームの裏の空地を活用し、不登校の子どもたちと高齢者の憩いの場をつくる構想もある。将来的には、障害者就労支援なども視野に入れる。

 

海藻を干す利用者たち

 

 

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