人口8000人に満たない広島県尾道市の生口島で、島内唯一の特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人新生福祉会。高齢化率40%を超える島の介護事業を支えてきた一方、11月に東京都足立区に初進出、特養「新田楽生苑」を新設した。区の公募に応募した7法人の中から選定された同法人。選ばれたポイント、都内での運営において注視する点など、山中康平理事長に聞いた。

 

社会福祉法人
新生福祉会
山中康平理事長

 

 

 

 

――都内進出の背景は
山中 特養や訪問介護など19事業所を運営し、島を支えてきた。約300名の職員のうち3割は60歳以上。島内の高齢化、人口減少も進む状況下で、持続的な運営のため広島県本土への進出、事業譲渡などM&Aも考えていたが、知人の紹介を機に足立区の公募に挑戦した。

 

 

――なぜ、7法人の中から選出されたか
山中 書面審査と視察審査を通じ選考される。当法人は、地域貢献活動や長年黒字経営である点が評価され選出されたと考える。
特に地域貢献活動には力点を置いてきた。社協、民生委員、地域の班長などとつながり、地域の課題をすくい上げ、買い物支援や集いの場を提供。介護サービスが少ない島において、住民の介護状態が重度化する前に心身の変化に気付ける場づくりや、適切なサービスにつなげる役割を担ってきた。新設の特養でも、そのノウハウを活かし地域に必要な活動を実行していく。

 

 

――施設の特徴は
山中 特養150床・短期入所20床で、現在約40名が入所している。来年5月に満床予定。地域住民が立ち寄れるコミュニティスペースを設け、カフェとして開放している。

 

コミュニティスペースは全面窓ガラスで開放的に

 

また、職員の負担を軽減する環境づくりは、人材確保における重要な戦略と位置付けコストをかけた。ベッドセンサー・カメラを全室に導入し、スマートフォン1台で記録、センサーやカメラの確認などができる体制を構築。自動清掃機能がある浴槽や、業務専用エレベーター、ニュークックチルなども採用し、職員が効率良く働ける環境を整えた。ICTには約7000万円、建築・設備費用はトータルで約30億円投資。うち約14億円は区から補助を受けた。

 

 

――都内で運営するにあたり、注視する点は
山中 人材確保において、島ではハローワークで求人を行ってきたが、都内ではどの人材会社をどう使えば採用につながるか、戦略を立て進行中。外国人人材も20名程採用した。

私も手探りのため、職員の声を聞きながら運営するべく、スタメン社のエンゲージメント経営システム「TUNAG」も導入。プラットフォーム上で理念や現場の課題を共有するなどして活用中。職員が主体的に動く組織の構築に役立てている。

 

 

――今後の構想は
山中 自分たちの理念を貫き経営していくため、事業譲渡などはしない方針。島の介護・福祉サービスを充実させつつ、都内では5年以内にあと1、2ヵ所拠点を増やしたい。

 

地域に開かれた施設づくりに注力

 

 

 

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう