ロボテ(横浜市)の髙健一社長が、「ICT×医療×介護」をキーワードに話題の人や企業へインタビュー。今回はケアテック研究の第一線で活躍する九州工業大学の井上創造教授に、研究内容やそこから分かってきたことについて聞いた。

 

九州工業大学
井上創造教授

 

 

 

――髙橋 前回のお話にあった介護のアプリとはどのようなものでしょうか。
井上 「フォンログ」は、基本的には介護記録アプリで非常に柔軟性が高いところが特徴です。「柔軟性」とは色々な意味があるのですが、例えば、Wi-Fiに接続されていなくても使用できます。それから、「うちではこういうことを記録したい」とか、「これはいらない」とか、自由に設定できます。

 

介護事業でも施設系、訪問系など色々ありますが、どんな形でも対応できるという長所があります。あとは出力もスプレットシートなどにできるので、表計算ソフトを使って自分で集計したいという方にとっては都合がいい。ほかにも音声で喋りかけたら入力できる機能など、入力の方法も柔軟に対応します。

 

1番ユニークな点は、スマートフォンの加速度センサー情報を使って介護士がどういった行動をしたのかある程度予測できること。例えば排泄介助をしたら、記録の候補を推薦してくれます。記録を全て手入力しなくてもある程度まで自動入力してくれるということです。 実際、手書きとフォンログを使って競争したことあるんですよ。1人分の記録をする時はフォンログだと1分ぐらいでしたが、手書きだと7〜8倍かかるんですよね。

 

 

――髙橋 今後の展開と言いますか、どのようにアプリを使ってもらい、どんなことを実現していくか、お考えぜひ聞かせてください。
井上 まず「介護ソフト」という言葉がありますが、私たちのフォンログは、既存の介護ソフトとは、やっぱり違うのかなと思い始めています。そこで、新しいジャンルを作っていきたいです。要は記録をした時、そこで終わりではないシステムということです。

 

1つの方向性として天気予報みたいに、何か予報を出せるシステムにしたい。例えば、「転倒のリスクがいつもより5 % 高いですよ」「今日は睡眠が非常に良かったので、次の日リハビリを頑張ってくれる可能性がちょっと高いですよ」とかですね。「こんなのが出てても面白くない」「役に立たないよ」って言われるかもしれないし、逆に「結構役に立つよ」って言われるかもしれない。そういったところを見極める意味でも検証を進めています。

 

 

――髙橋 非常に興味深いです。お風呂に入っていただいたり、レクリエーションに参加していただいたりするのに、現場も苦労する場合もあります。もし実装されれば、根拠がある介護ができる。現場としてもケアがしやすくなる。その先はいかがでしょうか。
井上 今説明した「ケアの天気予報」は、ケアのことだけを説明しましたが、実は気分的なもの、心理的なものを予測できる部分があります。例えば、本当に気象の方の天気、雨の日と晴れの日で、明らかに利用者の皆さんの気分が違うんですよね。気象情報とか上手く用いて、「この方は今日ちょっと機嫌が悪いかもしれない」などですね。さらに、今度はスタッフの方も「この方とは相性が悪く避けた方がいい」など予測ができます。

 

そういったことができると、前回述べた「心理的安全性」が高くなるんじゃないか、という風に考えています。

 

 

――髙橋 最後に、介護事業の経営をされている方に向けたメッセージをお願いします。
井上 ITとかDXとか色々言われていますが、やっぱり全ての方が、満足できることが重要だと認識しています。ぜひ、皆さんと学んでいきたいなと思います。ご興味があれば私たちと一緒に活動していきませんか。

 

 

 

ロボテ髙橋健一社長

東京外国語大学卒業。米国留学後、ユニリーバなどで経験を積む。父親の病をきっかけに、高齢期における社会課題の解決を志す。ベネッセスタイルケアの企画経験を経て2014年にアカリエを設立。21年に、同社の「HRモンスター」事業など分社化、robottte(ロボテ)を設立した。

 

 

 

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