「世界中のいたるところには経済的、政治的、宗教的な緊張がある。だから私たちはチョコレートが必要なのです」これは、料理人でショコラティエでもあるアラン・デュカス氏の言葉だ。わたくしにとってもチョコレートは、理屈抜きでワクワクさせてくれる魔法のお菓子。

 

かつて理想の社会を夢見た少年が、甘かったり苦かったりを味わいつくし突き進んだ19年を描く、東海テレビドキュメンタリー劇場第14弾!

 

 

「チョコレートな人々」
ナレーション:宮本信子 プロデューサー:阿武野勝彦 音楽:本多俊之 音楽プロデューサー:岡田こずえ 撮影:中根芳樹、板谷達男 音声:横山勝 音響効果:久保田吉根、宿野祐 編集:奥田繁 監督:鈴木祐司 製作・配給:東海テレビ 宣伝・配給協力:東風 2022年/102分/日本/ドキュメンタリー©東海テレビ放送
2023年1月2日(月)より〔東京〕ポレポレ東中野、〔愛知〕名古屋シネマテーク、ユナイテッド・シネマ豊橋18、〔大阪〕第七藝術劇場ほか全国順次公開
公式サイト:https://tokaidoc.com/choco/

 

 

 

「一人がひとつ、プロになればいい」

 

愛知県豊橋市に本店を構えるチョコレート専門店「久遠チョコレート」は、16億円(2021年度)の年間売り上げを誇る。ショップやラボなどは全国の福祉施設と連携し、開業予定も含め30店舗以上、50以上の拠点を持つ。

 

グループの従業員は約570人で、その約6割は身体や心に障害を持つ。最近は、シングルペアレント、親を介護中の人、不登校経験者、セクシュアルマイノリティなど生きづらさを抱える多様な人たちが働く職場にもなっている。国内外150の人気ブランドが集まるチョコレートの祭典「2022アムール・デュ・ショコラ(ジェイアール名古屋タカシマヤ)」への出店は既に5年目。

 

「久遠チョコレート」の代名詞ともいえる「QUONテリーヌ」はこれまでに約150種類を販売。世界各国から厳選したカカオから作るチョコレートにはこだわりが詰まっている。

 

 

代表の夏目浩次氏は、障害者雇用と適正な賃金の支払いにこだわってきた。チョコレートなどの製造工場では、愛知県の最低賃金の時給986円を超えている。夏目氏はバリアフリーの建築を学んでいた大学時代に、障害者のあまりにも低い賃金を知り、障害者雇用の促進と最低賃金を上回る賃金を生み出すビジネスモデルを目標に、03年に豊橋市の商店街でパン屋を始めた。

 

当時の借金は1000万円で、銀行の融資には限度額があったため、民間のカードローン6〜7件でやり繰りをした。しかし、毎日深夜から始まるパン作りは手間がかかる割に利益が低く、その日に売れなかったパンは廃棄となる。時には従業員がオーブンで火傷することも。それでも、彼らができなかったことを次第にやり遂げていく姿に希望の光が見えていた。

 

 

それから10年後、トップショコラティエの野口和男氏との出会いが転機となった。「チョコレートは失敗しても温めれば、何度でも作り直せる」。これは障害者の作業に適していると確信を得た。扱いづらいチョコレートの複雑な作業工程を細分化した。

 

作業工程のテンパリングはこだわりや集中力があること、フルーツのカットやラッピングは手先が器用であることなど、スタッフの特性を活かし、小さなタスクに分けて作業を行う。「一人がひとつ、プロになればいい」と野口氏が教えてくれた。そこから夏目氏の快進撃は止まらない。

 

 

 

 

 

小川陽子氏
日本医学ジャーナリスト協会 前副会長。国際医療福祉大学大学院医療福祉経営専攻医療福祉ジャーナリズム修士課程修了。同大学院水巻研究室にて医療ツーリズムの国内・外の動向を調査・取材にあたる。2002年、東京から熱海市へ移住。FM熱海湯河原「熱海市長本音トーク」番組などのパーソナリティ、番組審議員、熱海市長直轄観光戦略室委員、熱海市総合政策推進室アドバイザーを務め、熱海メディカルリゾート構想の提案。その後、湖山医療福祉グループ企画広報顧問、医療ジャーナリスト、医療映画エセイストとして活動。2019年より読売新聞の医療・介護・健康情報サイト「yomiDr.」で映画コラムの連載がスタート。主な著書・編著:『病院のブランド力』「医療新生」など。

 

 

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