東北・関東で在宅診療所を展開する医療法人社団やまと(宮城県登米市)は11月1日、光ヶ丘スペルマン病院(140床・仙台市)を運営する一般財団法人光ヶ丘愛世会と運営・人材教育などで連携すると発表。やまとの田上佑輔理事長が同財団の理事長に就任した。運営、人材育成で連携しつつ、多職種連携で地域医療を支えていく。

 

 

田上佑輔理事長

 

 

タスクシフトも 助手が診療同行

 

同法人は、宮城県、岩手県、神奈川県で在宅療養支援診療所を計8ヵ所運営しており、患者数は約1800人。常勤、非常勤合わせて約60名の医師が所属している。

田上理事長は、「拠点間で人が循環することで、医療者が自己実現できる環境としている」と語る。

 

地方では地域医療の担い手不足が深刻化している。医師の偏在状況を示す厚生労働省「医師偏在指標」(2020年8月時点)を二次医療圏別に見れば、宮城県では「仙台」エリアが偏在指標279.8で医師多数区域である一方、その周辺の「石巻・登米・気仙沼」エリアは同152.4で医師少数区域だ。

 

 

地域医療を志しつつも、家庭やキャリア、プライベートとの両立の不安から断念する医師も少なくない。そこでやまとでは医師の「循環型ライフスタイル」を提唱。神奈川、仙台といった都市部と地方の両方の診療所で勤務する「2拠点生活」を可能にした。

 

実際に宮城県大崎市の診療所の院長は、自身の理想の地域医療を実践するために、都内から通勤を始めて7年目になる。人の循環が、経験や知見の共有といった教育・育成にも貢献する。また運営面でも、有事の際の応援に対処しやすい、という利点がある。

 

光ヶ丘スペルマン病院外観

 

 

 

今回の光ヶ丘スペルマン病院との連携によって、在宅診療だけでなく外来での勤務、病院でなくてはできない研修の実施、地域住民や多職種での活動の機会の増加などを見込む。自身のキャリアや思いを実現できる環境を拡充した。「診療所と病院の連携で、それぞれできることをシェアしていく」(田上理事長)。

 

光ヶ丘スペルマン病院は1955年設立で、内科・小児科・リウマチ内科・緩和ケア内科を中心に診療。特に緩和医療については県内で初の緩和ケア病棟を設置するなど、豊富な知見を持っている。時代の変化に合わせて、「地域に開かれた病院を目指す」方針がやまとと一致したことから今回の連携に至った。

田上理事長は「今後も、東北を中心に思いを共有する法人があれば、チームの輪を広げていきたい」と話す。

 

 

また、持続可能な地域医療と、家族、多職種連携によるチーム医療の推進のため、診療アシスタントを採用している。医師の診療にアシスタントが同行し、診察・治療に必要な物品の準備、運転、現場でカルテ入力を担当。医師が患者と向き合うことに集中できるよう支援する。そして、介護の専門職など様々な関係者の窓口となり、患者を支えるチームの「潤滑油」になる。こうしたアシスタントは45名(MSW、ケアマネジャー、管理栄養士など資格保有者含む)在籍している。

 

同職種の募集は本部で一元的に行い、各診療所の採用計画などと、応募者の希望を考慮して採用している。選考には採用担当だけでなく、求人元の診療所事務長、院長、中堅以上の診療アシスタントらが参加。社会人としての能力、チームで働く上で重要となる相性などを見る。

 

 

育成は各事業所で行ってきたが、今年から教育マニュアルを改良。より効率的な育成プログラムと、育成担当のトレーナーによる指導体制の確立に向けて準備を進めている。医師採用担当の川越美咲氏は、「より多くの診療アシスタントを育成できるようになり、将来的には、医療者のタスクシフトが課題になっている医療機関を支援することも考えられる」と話した。

 

 

やまと在宅診療所登米

 

 

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