<在宅医療事始 ~医療連携、その現状と展望~>

 

 

人の血液循環量、特に水分不足の時、どのような影響が出るだろうか。

 

高齢者に限らず脱水傾向を来すと血液中の水分量が減るので、血圧は下がりやすい。 一般的に、冬場より夏場の血圧が低いのはそのせいだ。 血液循環量が減ると全身に巡る血液量が減るので尿量が減る。より少ない血液 循環量で尿を出そうとすると、当然排出すべき老廃物の量は変わらないので、いわゆる「濃縮尿」という状態になる。

 

濃縮尿になると、例えば尿中に溶け出していた色々なミネラルが結晶となって出てくるので、目に見えて混濁物が多くなるだけではなく、 尿路結石にもなりやすくなる。 その浮遊物をきっかけとした膀胱炎や腎盂腎炎といった泌尿器系の感染症を起こしやすくなる。

 

また血液循環量が減ると脳血流量も減るので、 頭痛が起こったり首や肩やそれ以外の筋肉に力が入りづらくなったり、痙攣を起こしたり、それに伴って意識混濁が起こることさえある。もちろん、血液中のミネラルであるナトリウムやカリウムのバランスも正常値を逸脱する。これは正常よりも高くても低くても意識レベルに少なからず影響が生じる。

 

さらに肺炎にもなりやすい。 脱水で口腔内が乾燥してしまうと、口の中にこびりついた痰がいつまでも取れずに残り、そこに常在菌を含めた細菌が繁殖し、それが肺に入ると肺炎を引き起こす。 夏場のように短時間に一気に汗をかき脱水傾向が進行したのであれば、 非常に劇的に症状を起こし、周囲にいる人が気付きやすいわけだが、経時的に緩やかに脱水が進行してきた場合は、その症状も緩やかに進行するため、発見が遅れることがある。

 

 

施設の高齢者は、その身長と体重、年齢と性別からその人に合った、エネルギー計算された食事が提供されている。

 

同様に水分も、その人の状態に合わせて計算された理想的な水分量を事前に用意するわけであるが、前回も言った通り、 それを超えて提供されることは基本的にはない。 今のその人の身長、体重などに基づいた食事や水分量を提供しているわけで、水一滴飲み残すことなくその日のうちに必ず摂取するという前提に立った提供量であると言える。

 

 

誤解を恐れずに言えば、高齢者のほとんどが脱水だと言っても過言ではない。 我々は脱水の状態にある人の、その後に起こり得る様々な合併症を頭に思い描きながら未然にそれを防ぐために、常に食べ残し、飲み残しを考えた量を上乗せして、食事や水分を提供するべきなのではないだろうか。

 

 

 

髙橋 公一

医療法人社団 高栄会  みさと中央クリニック

埼玉医科大学病院 第一外科入局。消化器・一般外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺内分泌外科、移植外科、脳神経外科、小児科などを経験。2001 〜03 年に外科留学、移植免疫学を学ぶ。帰国後、埼玉医科大学に復職し、チーフレジデントを勤める。その後、池袋病院外科医長、行田総合病院外科医長を経て、08 年みさと中央クリニック開院。17 年に法人化。

 

 

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