コメダ珈琲店を運営するコメダ(名古屋市)と石光商事(神戸市)は、摂食嚥下障害の人でも飲みやすいインスタントコーヒー「TOROMI COFFEE(とろみコーヒー)」を共同開発し、11月11日より、コメダ珈琲店の公式オンラインショップで販売を開始した。

公式オンラインショップで販売
開発のきっかけは、「美味しいコーヒーが飲みたい」という高齢者からの声だったという。谷口裕重歯科医師(朝日大学歯学部口腔病態医療学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 准教授)監修のもと、2年半がかりで完成した。
開発担当の伊藤弥生氏(マーケティング本部長兼Eコマース推進室長)は、「飲み込みの力が弱くなり、サラサラとした飲み物が飲めなくなったり、一人で店舗に来られなくなってしまったり、歳を重ねるとともに、コーヒー離れをする人が少なくない。誰でもどこでも手軽に、安全に美味しく飲めるコーヒーを届け、『コーヒーの卒業』を遅らせたい」と想いを語る。
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開発担当 伊藤弥生氏(左)と谷口裕重歯科医師
個包装になっており、1箱15袋入りで1900円( 税込)。90℃以上のお湯150㎖を注ぎ、15秒程かき混ぜると、1~2分ほどでとろみがつく。開発協力でもある森永乳業グループのクリニコ(東京都目黒区)のとろみ調整食品を採用した。現在、公式オンラインショップで販売を開始。今後はドラッグストアなどでも販売していく予定。
「ホイップをトッピングすると暖かいコーヒーゼリーのようになります。新食感コーヒーとしても味わってもらいたい」(伊藤氏)
監修の谷口歯科医師は、11月12日に愛知で開催された健康公開講座(主催:公益財団法人愛知健康づくり振興事業団)で、「『食べる』ことから健康寿命を考える!~口や喉の衰えと健康寿命の関係〜」について講演し、とろみコーヒーについても紹介した。
「いつまでも美味しく、楽しく食事をとるためには、口を衰えさせないための『訓練』と『安全』がポイントとなる。誤嚥のリスクが高い人に対して、安全性ばかりを重視しすぎて、食べることを禁止するのではなく、とろみ調整食品などをうまく活用して、美味しく安全な食事を提供することが大事」と強調。「とろみコーヒーのような新商品が広がることで、これまでのとろみ調整食品や介護食へのネガティブなイメージを払拭させたい」と期待を込めた。

11月12日に開催された健康公開講座