首都圏を中心に有料老人ホームなどを80ヵ所以上運営するニチイケアパレス(東京都千代田区)は、本社に歯科衛生士を配置し、口腔ケアの重点化に取り組む。歯科衛生士が定期的にホームを訪問し、入居者への直接介入や、職員向けに研修・助言を実施。専門的な視点で入居者の口腔内の健康維持・QOL向上に取り組むことで満足度向上や差別化につなげている。

 

同社では、本社の教育研修課にPTや看護師、社会福祉士など専門職7名を揃え、ケアの質向上を推進している。その中に歯科衛生士も1名配置。ホームを巡回して口腔ケアの状況確認、実技指導などを行っている。

 

 

付加価値を追求
ホームはすでに歯科医療機関と提携しているが、さらに法人本社で歯科衛生士を雇用している目的について、「口腔ケアにより力を入れ、入居者が美味しく食事できるようサポートすること、誤嚥性肺炎などによる入院を防ぐことは非常に重要と考える。結果として、サービスの付加価値を高め、選ばれるホームづくりにつなげていきたい」とニチイホーム杉並松庵の秋谷泉樹管理者は話す。

ニチイホーム杉並松庵 秋谷泉樹管理者

今年度からは、誤嚥性肺炎での入院率が高い3ホームを選定。全入居者に職員が行う口腔ケアに加え、重点的にケアが必要な入居者に対しては歯科衛生士が週1回ほど直接介入する。OTや看護師などの多職種とも協働し、より強固な口腔健康管理の体制を整えている。
「コロナ禍において、提携する訪問歯科の訪問回数が少なくなり、口腔衛生の維持に少なからず影響があった。特に嚥下機能の低下が著しい人は生命に関わるため、直接介入に至った」と歯科衛生士の中浜恵氏。

人材戦略本部 人事部 教育研修課 中浜恵係長

 

専門的な視点で口腔内を確認することで、入居者の歯茎の腫れを早期に発見できたケースや、歯科衛生士による食事介助で入居者の咀嚼や嚥下がスムーズになったケースがあるという。
「私が訪問しない時にも職員がきちんとケアできるよう、『根拠』を伝え指導している。職員は口腔の視点からも入居者を観察するようになり、スキルアップにつながっている」(中浜氏)

 

加えて、協力歯科医療機関と職員との連携も促進。歯科衛生士が医療機関の指導をわかりやすく職員に伝えるなど、両者のパイプ役を担っている。

 

今後、この取り組みがどのような効果を生むか、誤嚥性肺炎の罹患率などエビデンスを収集した上で全ホームに取り組みを拡大していく考え。また、地域住民向けにも口腔ケアに関する講習会なども開催していく予定だ。

専門的視点で、根拠を伝えながら研修。職員のスキルアップへ

 

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