SOUホールディングス(千葉市)は、セレモニー(葬祭)、介護、保育、医療、人材サービスなど全社で構成される企業グループ。介護事業を行うアルテディア(東京都千代田区)は、セレモニー関連事業と介護事業を連携して行う。さらに、2018年にグループに加わった米国の介護事業者ホリーサービス(ロサンゼルス市)と介護技術の交流を図る。

左からアルテディア・介護事業部・長谷川恵介シニアマネジャー、ホリーサービス・小杉寛社長、アルテディア・飯田道明社長、蝦名哲常務取締役
アルテディアの22年3月期の売上高は23億500万円。運営する43事業所(子会社含む)のうち、29事業所はM&Aにより取得している。21年5月には、千葉県習志野市、船橋市でグループホームや有料老人ホーム、デイサービスなど10事業所を運営するヘルスケアナラシノを子会社化。事業承継は積極的に行うが、救済型は行わない方針という。
展開エリアは東京、千葉など関東地方を中心に、宮城、静岡、大阪、宮崎など1都1府7県にわたる。
「事業承継後も、各事業所がそれまで地域で築いてきた実績やブランドを最大限に活かし、事業所名は維持する方針」と飯田道明社長は語る。
業態を絞らず、拠点が全国に点在する事業展開が、近年の災害や感染症対応の際の利点となっているという。
「今後は、災害時に他法人が運営する事業所と助け合えるような体制も構築したい」(飯田社長)。
20年には、約20名の現場責任者が会議を重ね、事業コンセプトや理念を再構築した。
「ヘルパーとして働きたい環境を作る。それを改めて確認した」と飯田社長。本部に運営支援部門を設置し、サービス部門毎に現場をサポートする体制も整えた。ICTによる業務効率化にも本格的に着手し、LIFE関連加算の取得に向け準備を進めている段階だという。また、在宅医療のニーズを踏まえ新規開設での訪問看護事業所の拠点数を増やしている。
同社が属するSOUホールディングスは、SOUセレモニー(旧博全社)を中核とする葬祭・供養関連事業を展開する。今後、介護サービスの利用者にセレモニー関連サービスも利用してもらうことで、相乗効果を発揮していく考え。「最期まで褥瘡ができないよう丁寧なケアを行い、その後のエンゼルケアや葬儀に繋げられれば、介護職員にとって大きなやりがいとなる」と飯田社長は語る。
訪看、新規開設で拠点増 介護と葬祭事業、連携
もっとも、介護とセレモニーは本来ベクトルの異なる事業。現場の看護師がいかに入居者やその家族にセレモニー関連サービスの訴求ができるかが重要となる。現場のエリアマネジャーが中心となり訴求する仕組みを構築中だ。
アメリカでも介護事業を展開する同グループでは、2国間での技術交流も企図。ホリーサービスは、ロサンゼルス、サンディエゴで訪問介護事業を展開する。利用者は約80名で約95%が日系アメリカ人。公的な介護サービスがない同国において、年齢層は90代、比較的富裕層の人の利用が多いという。スタッフも日本人や日系人が中心。同社の小杉寛社長は、「米国人スタッフには難しいきめ細やかなサービスが好評」と語る。
現在、ハワイでの事業所開設に向け準備を進めているという。ハワイに100以上あり、日系人と深い関わりのある寺院向けに、仏具の修復、輸入販売などを行うSOUホールディングスのジャパンメモリアルコーポレーションが既に構築している現地でのネットワークも活かしていく。
「米国の介護は、家族が中心となり行うのが主流。スタッフが家族と一緒にケアチームを構成するという要素が強い」と小杉社長。
スタッフの視野を広げるべく、アルテディアとホリーサービス間での交流を計画中だ。
「日本式の細部までサポートする介護手法を、米国のスタッフにアドバイスするなどもあっていい。それがスタッフに新たなモチベーションをもたらす」と飯田社長は語った。