GrASP(グラスプ/横浜市)は、若年性認知症支援に特化したデイサービス「トポス和果」を運営。仕事や趣味活動での他者との関わりなどを通じて社会参加支援や、利用者や家族の声の発信で当事者が暮らしやすい地域づくりに取り組む。

近隣の桐蔭横浜大学の授業に登壇する山崎社長

 

トポス和果は、有償の仕事やスポーツ、畑作業のほか趣味活動などを用意し、社会との関わり作りをサポートする。定員は24名。
若年性認知症者は、大勢の年齢の離れた高齢者に混ざると世代間ギャップなどで疎外感を持つ場合もあるが、同施設は平均年齢64.9歳だ(22年12月時点)。若年性認知症に特化し、同世代が多い環境、世代に合う音楽や活動を用意することで「当事者にとって利用しやすい環境になります」と管理者の渡辺正哉氏。そのことで、週6日など利用日数が多い人も少なくはなく、利用限度額を超えた利用者もいて、稼働率も75%以上になる。

 

同施設では、利用者が有償の仕事を行うことができる。仕事内容は主に弁当配達、食器洗い、梱包など。地元のNPO団体が行うソーシャルビジネス(市内の店が扱う商品をキッチンカーで駅から遠い住宅地などで販売)における、週1回のおこわ作りもある。昨年12月から開始し、利用者5人が携わる。
「それに向けて自宅で練習してくる人もいます」と渡辺管理者。

 

 

現在ではデイの祭りにキッチンカーを迎え、共同で販売にあたるといったことにもつながっている。
若年性認知症は一般的に進行が早い。弁当配達の仕事をしていたある利用者は、最初はオートロックへの対応や客との会話もできていたが、できないことが増え、弁当を渡すだけになった。活動に織り交ぜていったスポーツの方をより楽しむようになり、仕事への関心は薄くなってきた。家族の理解もあり趣味を通じた社会参加の段階へ徐々に移行した。

 

 

「最初は『遊びのようなことはしたくない』と言う人もいます。徐々に仕事の難易度を下げ、趣味活動の輪へ入っていけるよう時間をかけてゆっくり誘う形をとります」(渡辺管理者)。
同社では自治体、大学などでのセミナーや、YouTubeなどネットでの情報発信にも力を注ぐ。「若年性認知症をめぐる状況を知ってもらえるよう当事者や家族の声、気持ち、サポート上の難しい点、などを伝えることを大切にしています」(山崎健一社長)

車の清掃をする利用者とスタッフ

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