「営業活動を行う管理者への指導ポイント」の前半では、具体的なスキルに加えて、営業の目的・効果・考え方を担当者にしっかり伝えていくことが重要であることをお伝えしました。後編では、新規の同行営業のポイントについて触れます。

 

 

法人本部担当者も同行で効果的な営業を

 

〈新規〉同行営業 /「誰が」「どこへ」「何で」同行するのか、状況に応じて最も効果的な同行を実施します。

 

⑴自治体への挨拶(事業所開設、新規事業開始など)
新規事業所の出店の際、担当者の紹介と兼ねて、管理者などの上長同行で、新事業のコンセプトや地域でより多様なニーズに応えていこうとしている旨を報告しに行きましょう。また、そのエリアにはまだないサービスで、必要とされているものは何なのかもヒヤリングしてください。

 

 

⑵強大な医療法人
地域で強大なネットワークを持つ医療法人とは必ず良い関係を作っておく必要があります。総合病院はもちろん、付随する介護老人保健施設、訪問看護ステーションなど、取引先の宝庫といえます。開設時の挨拶では、法人上層部、管理者、ケアマネジャーなどに挨拶をしておきます。

 

 

⑶撤退情報のある事業所
経営困難となり閉鎖・撤退を考えている事業所がある場合は、必ず情報をキャッチしてください。まるごと任せていただけるよう、体制が整っていること、いつでも受入可能ということを法人上層部が担当者に伝えてください。撤退に踏み切る事業者は、抱えているお客様や従業員の今後をとても心配しているはずです。相手の気持ちを汲み取り、誠実に確実に対応できることを伝え、安心して任せてもらえるようにしましょう。

 

 

⑷負の遺産があり、受注がないエリア
過去に大きなクレームがあったなど、地域の担当者の信頼回復が困難なエリアは、法人上層部によるトップ営業が効果的です。但し、1回限りのチャンスと捉え、確実に信頼されるトーク、風貌を心がけてください。

 

 

⑸事業所などの評判をヒヤリング
特に、過去に大きなクレームを出したという訳ではないのに、なかなか紹介の事業所数が増えない場合、自治体や地域のケアマネジャーからの評判が悪い可能性があります。

 

事業所などの課題をヒヤリングしてみてください。法人上層部や品質向上責任者が同行し、自治体と地域のケアマネ連絡会(協議会)の役員には確実に訪問してください。ヒヤリングの最中は、必死でメモをとりながら、謙虚な姿勢で相手の話に耳を傾けます。意見を頂ければ、その課題に対する具体的な対策や実際にその対策に取り組んだ結果報告など、次回の訪問へとつなげます。また、実際に改善することで、確実に信頼を獲得することができます。

 

何度か訪問しても、なかなか意見を頂けない場合は、自社ケアマネジャーにもヒアリングしてみてください。

 

 

⑹過去の取引先(クレームなどにより取引停止となった)
これも、⑸と同じように、「どのように改善していくのか」という対策を、具体的に話すことができるよう準備しておいてください。

 

 

⑺ケアマネ連絡会(協議会)
原則、ケアマネ連絡会(協議会)の参加対象者はケアマネですが、連絡会のリーダーとの関係が築けているのであれば、「勉強のため、ぜひ参加させてください」とお願いしてみてください。

 

地域で多くのケアマネが一堂に会する場は、事業所や名前を覚えていただくチャンスです。初回の参加では、とにかく熱心に話を聴く姿勢を示し、数回参加したところで、場の雰囲気や状況がつかめてきたら、開始前や終了のタイミングを見計らって挨拶をしてください。

 

エリア内に複数のサービスがある場合には、法人上層部が同行することにより、広い範囲での紹介が可能なため、効果的といえます。ここで、名刺交換だけでも出きれば、次回、そのケアマネジャーの事業所訪問の際、話がしやすくなります。

 

 

 

伊藤亜記氏
㈱ねこの手 代表

介護コンサルタント。短大卒業後、出版会社へ入社。祖父母の介護と看取りの経験を機に98年、介護福祉士を取得。以後、老人保健施設で介護職を経験し、ケアハウスで介護相談員兼施設長代行、大手介護関連会社の支店長を経て、「ねこの手」を設立。

 

 

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