年末に先輩看護師に嬉しいお言葉を頂いた。まずは採血で「腕上げたわね」と言われた。そしてMRI検査では「この方、前回の検査中に動いてしまい、きちんと撮れていなかったけど、機転を利かせて受診者の側に寄り添ってくれたので、今回はしっかり撮れました」と最高に嬉しいコメント。

 

注射に関しては、私自身が注射をされるのが大の苦手。というより恐怖。検診においても貧血で倒れること前提で、採血時はベッドに横になって行っている。その私が他者に注射を打つなど考えもしなかったが、逆に考えれば、受診者の不安や恐怖、どの感情も私には理解できる。だからこそ苦痛を感じないように採血をするにはどうしたらよいかと、必死で考える日々である。

 

 

ところが人の体は様々で、血管を確認して注射針を刺しているのに血管がそれる、これは高齢者に多いらしい。そして血管が確認できない人もいる。そんな時は、手を下げてグーパーを繰り返すと血管が浮き出てくるのだが、駆血帯を巻くとなぜか見えにくくなったりする。怖くて動いてしまう人の時などは、安心した環境を考えて家族に協力もいただく。様々な方法を試みてなるべく受診者にとって負担のない方法で対応する。

 

MRI検査は狭い空間で行うため、耳障りな音が検査中鳴り響き閉所恐怖症の人には耐えられるものではない。検査室はひんやりとしていて空気感が全く違うので、それだけでも一瞬体がきゅっと引き締まり緊張する。敏感な人は不安が表情や言動に出る。落ち着いていた人が「出してくれ、こんなこと止めてくれ」とすごい剣幕で叫び、検査室から出たとたんに落ち着くということもある。

 

 

先日医療従事者の勉強会でスタッフに検査台に乗ってもらうと、何があっても冷静な人が検査が始まると同時に急に暴れだした。閉所恐怖症ではないが、検査が始まったら急に怖くなって暴れてしまったという。

 

体験してこそわかる恐怖感。この体験によってこれから受ける受診者の気持ちに寄り添え、なるべく快適な環境のもと検査を行ってもらえるよう配慮ができるのだと思う。安心な環境のもと様々な検査を行うことで、ここなら安心と思ってもらえれば仕事冥利に尽きる。

 

 

女優・介護士 北原佐和子氏

1964年3月19日埼玉生まれ。
1982年歌手としてデビュー。その後、映画・ドラマ・舞台を中心に活動。その傍ら、介護に興味を持ち、2005年にヘルパー2級資格を取得、福祉現場を12年余り経験。14年に介護福祉士、16年にはケアマネジャー取得。「いのちと心の朗読会」を小中学校や病院などで開催している。著書に「女優が実践した魔法の声掛け」

 

 

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう