多機能型150ヵ所規模へ 専門職数と加算で質定量化

 

 

全国30都道府県で604事業所を展開するセントケア・ホールディング(東京都中央区)。看護小規模多機能型居宅介護など多機能型拠点や訪問看護といった医療系サービスを強化している。高齢者の「在宅での暮らし」をサポートすることに軸足を置く同社における現在の取り組みや新規事業などについて、藤間和敏社長に話を聞いた。

 

セントケア・ホールディング
藤間和敏社長

 

 

 

 

――2024年までの中期経営計画において、多機能型への積極投資を挙げています

藤間 現在、小多機を45ヵ所、看多機を49ヵ所運営しています(22年12月末時点)。小多機運営を通して得たノウハウを基に中重度者の在宅生活を支えるサービスのニーズに対応すべく、今後は看多機中心で開設を進めていく方針です。

これまで年10ヵ所ペースで多機能型を開設しており、今後5年ほどで約150ヵ所規模での展開も視野に入れています。物価や建築コストの高騰といった課題はありますが、現段階では利用料の値上げは考えていません。仕入れの見直しや、地産地消による運送コストの低減などのほか、新設ではZEB対応、既存施設ではLED化や太陽光パネルの設置に取り組んでいます。

 

 

 

――現在強化しているサービスとは

藤間 訪問看護事業所の開設を加速します。今期は16ヵ所開設予定で、すでに計100ヵ所以上の体制を整備しています。多機能型拠点と訪問看護、訪問介護をユニット化したセントケア型地域包括ケア「コミュニティNo.1拠点」は現在28エリアになりました。これを3月末までに36エリアにした後は、24年度末までに56エリア、27年度には100エリアほどに増やしていく考えです。新たにエリアに加わった福島県、群馬県、岡山県、鹿児島県では、今期多く開設した訪問看護から拠点展開し、「No.1拠点」を構築して次なる成長ドライバーの1つとしていきます。

 

 

 

――人材確保やサービスの質向上に資する取り組みについて

藤間 当社では「専門職の数」そして「加算の取得率」、この2つが組織内外からの質の評価にあたると考えます。前者では、介護福祉士資格の取得や資格保持者の採用、および看護師採用に注力。22年3月期の実績では、介護福祉士3982人、看護師2154人が活躍しています。

後者については、訪問看護・看多機では基準以上に看護師を配置することによって、看護体制強化加算の取得率向上と特別管理加算の算定に取り組んでいます。訪問介護では介護福祉士などの配置を厚くし、特定事業所加算Ⅰの取得率向上を推進。看多機の看護体制強化加算Ⅰは現在7割超の事業所で取得、特定事業所加算Ⅰは約8割の事業所で取得しています。

 

当社が展開を進めている看多機などでは特に、多職種連携が重要になります。主治医との連携、看護・介護の連携、在宅復帰に向けた利用者本人や家族との連携、地域の他事業所との連携など、より専門的なスキルが必要不可欠です。「人と質」というのは介護・医療サービスの要であり、「専門職の数」と「加算の取得率」で定量化しています。

 

 

 

――新卒採用について

藤間 22年度実績では83人(高卒30人、大卒・専門卒53人)を採用しました。今後、さらに採用数を増やしていきたいと考えています。同時に待遇改善に合わせた職場環境の改善に努め、離職率の低減にも取り組んでおり、正社員離職率は11.7%(22年3月時点)。まずはこれを、24年度までに11%まで下げていきます。

 

 

多様な新規事業に舵

 

 

――新規事業にも注目が集まっています

藤間 基本的には地域戦略として、エリアを軸に事業展開を進めています。一方で、サービス軸での展開として、11月に新会社「セントケアDX」を立ち上げました。訪問介護と訪問看護の2部門を併設した営業所にICTを組み合わせたサービスを行い、エビデンスに基づくケアや契約・記録書類の電子化を実施。加えて利用者宅へのICT機器導入により、施設系サービスのような安心感と満足感の提供、そして在宅でのコンパクトな介護の実現に向かいます。

職員の勤務においては4勤3休制やリモートワーク、VRなどを導入。積極的な新規出店などを通し、今後5年間で売上規模20億円を目指す考えです。

 

また3月には、訪問看護、看多機運営の知見を活かし、当社初となるホスピス住宅を開設します。仙台の既存施設を改修するもので、規模は全12床。居室の広さや空間設計も重視しています。在宅の延長としての役割を担う形で、これまでの訪問看護や看多機といった医療系サービスに取り組んできた経験と実績を活かし、長期的には事業の核となるサービスにできるよう、この2、3年でノウハウを積み上げていく方針です。

 

 

 

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう