5年以内に100拠点看多機展開も予定

 

日本ホスピスホールディングス(東京都千代田区)は、3大都市圏と北海道でホスピス住宅事業を展開している。約900床を運営する同社は、年間で約1200件の看取りを行う。高橋正社長に事業について話を聞いた。

 

日本ホスピスホールディングス
高橋正社長

 

 

 

 

 

――ホスピス事業を始めた理由と事業概要について

高橋 看取り難民増加などの背景により、ホスピス住宅の必要性を感じていた。過去、欧州に視察に行き、個人も企業もホスピスの運営に寄付し、ボランティアも潤沢であるなど、文化として根付いていることを知った。日本で寄付やボランティアを使ったモデルを運用するのは困難であると思い、老人ホームなど高齢者施設として登録し、在宅サービスである訪問介護や訪問看護を活用した今のホスピス住宅のモデルに至った。

 

運営施設数は32施設(2022年11月時点)。昨年は8棟の施設を新設、内2件は事業承継で地元企業からホスピス住宅の運営を引き継いだ。今後の年間の開設ペースは、23年が9棟、24年で10棟を予定している。
施設の床数は当初12床でスタートしたが、現在は30〜40床がスタンダード。これを1年かけて満床、累積で黒字化できるようにしていく。

 

入居者は、6割が末期がんの人、3割が難病、その他が1割で平均要介護度は3.5〜4。売上の比率は、介護保険を1とすれば、医療保険2、障害者総合支援法よるものが0.5程度。ホスピス住宅は3つの制度にまたがるため、高度な運営ノウハウが求められる。障害分野は各自治体によって提供可能なサービス時間が異なり、売上の予測が難しいこともあり、介護・医療保険と比較して低くなっている。

 

 

 

――ケアの質を高める取り組みは

高橋 教育面では、淀川キリスト病院などで緩和ケアに従事した後、昭和大学教授を経て入社したがん看護専門看護師が、執行役員としてケアの質向上、ホスピスのチーム作りを担当している。加えて、社外取締役として同病院で緩和ケアに従事したのち、京都大学の現任教授である看護師も経営に参画している。看護師全体の中でも、専門的な緩和ケアの知見を持った人材の数は極めて少ない。その分野の第一人者と呼べる看護師が在籍していることは、緩和ケアにコミットしている看護師にとって魅力となり、採用にもつながっている。

また現在、質を高めるための基礎資料とすべく、日本ホスピス緩和ケア協会の調査に参加。提供している緩和ケアの満足度についてアウトカムを出すことを目指す。この様な外部機関との連携を積極的に図っていく。

 

 

 

――今後の施設開設の予定は

高橋 5年以内にホスピス住宅を100拠点とすることを予定。展開エリアは、3大都市圏や東海圏、関西圏、そして札幌市や政令指定都市もありうる。

 

看護小規模多機能型居宅介護も20拠点開設したい。ホスピス住宅に入居する前から関わることで、終末期の段階でより良いケアが提供できる。また、働き方の多様性を増すことにもなり、スタッフが人生のステージに合わせて働き方を変えることも可能になる。

 

地域に根差し、住み慣れた街で最期まで暮らせる「街がホスピスになる」姿を思い描きつつ、人生の終末期へのサービスを提供する。

 

昨年12月に開設したナーシングホームOASIS金山。今年は9棟の新設を計画しているという

 

 

 

 

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