コロナや物価高騰、改正案への影響は

 

24年医療・介護・障害福祉の同時報酬改定に向けた議論が、これからいよいよ介護給付費分科会において具体的に進められます。秋には全体改定率が決定され、プラス改定となるか?マイナス改定となるか?業界にとっては最大の関心事です。さらには、年内にはサービスごとの論点に基づく議論も終了し、各種加算、基準の見直しの中身も概ね決定されることになります。3年ごとの法改正・報酬改定のタームにおいて本年は最も大切な1年であり、都度発信される報酬改定に向けた動向に、情報アンテナをしっかりと張り巡らせておく必要があります。

 

 

また、この報酬改定の議論にも影響を及ぼすことになる関心事象が2点あります。1つは新型コロナウイルス感染症の感染拡大と収束に向けた議論の動向。もう1つは、物価高騰の状況です。

 

この2点については、今年も継続して介護業界に厳しい影響をもたらすことが予測されます。業界の誰もがこれらについては早期の収束を切望していますが、報酬改定の観点のみで鑑みると、影響が長期化すれば、秋に決定される改定率において考慮され、マイナス改定の決断は打ち出し難くなり、逆に収束に近い状況となっていれば、マイナス改定の可能性が高まると予測されます。

 

これは誰にも見通しは立てにくい状況でありますが、コロナ禍の状況は、すでに収束に向けた動きが見られています。感染症分類の「2類相当」から「5類相当」への引下げが早々に実現される可能性は高く、世間的な関心事からは薄まっていくことと思います。とは言え、介護現場では感染拡大防止に向けた取り組みを継続していくべきであることは当然のことです。

 

 

一方で、物価高騰の状況は海外・戦争の情勢に大きく影響されることですが、長期化の様相を呈しており、さらなる高騰の可能性が残念ながら高いと言えると思います。サービスの質を低下させることなく生産性向上や、業者との交渉・選定先の見直しなどを通じたコストコントロールの重要性が一層求められます。

 

そして、介護保険法改正は、昨年末に審議会でとりまとめられた「介護保険制度の見直しに関する意見」を基に、改正法案がつくられます。議論が先送りされた「利用者負担割合の対象拡大」については、今年夏ごろの結論が想定されています。さらには、新サービスとなる「訪問介護+通所介護」の複合型サービスの詳細を含めて、「科学的介護の推進」「自立支援・重度化防止の推進」「生産性向上に伴う要件緩和」「処遇改善関連加算の1本化」の行方などが、介護給付費分科会における報酬改定での注目テーマとなります。

 

 

斉藤正行氏 プロフィール
2000年3月、立命館大学卒業後、株式会社ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。

 

 

 

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