人材不足を背景に外国人介護人材の活躍に期待がかかる。だが生活習慣など文化の違いを理由として、住む場所が確保できないといった人もいる。

住宅相談センター(名古屋市)の空き家・空き地の相談センターはそれを解消するため、社会問題と化している空き家を用いて住宅を確保する事業を実施してきた。現在、取り組みの水平展開を進めている。

 

吉田貴彦社長

 

 

日本の医療・福祉の分野で働く外国人労働者数は2021年10月末の時点で約6万人。ここ数年はコロナ禍もあり外国人労働者数は横ばい傾向にあるが、外国人の入国が再開されたこともあり今後その数は急増していくと見られる。

 

こうした人々の住まいについては受け入れる企業などが用意することになるが、外国人に物件を賃貸することに対して抵抗感を持つオーナーも多く、外国人人材が住む場所の確保に困難を抱えるケースもある。

 

住まいについての相談・支援事業を展開している同社では、社会問題となっている空き家に外国人人材に住んでもらうことに合わせて、地域の住民と良好な関係を築けるように「バディ」制度を考案した。「ベルギーのメヘレン市で住民と移民の対立が問題となっていたとき、市長が住民と移民で1対1のバディを組ませ、互いに助け合う制度を始め治安の改善に成功した例がありました。そこから着想を得ました」と吉田貴彦社長は話す。

 

 

県内の管理団体と協力し、同団体が受け入れた外国人人材を対象に空き家に住んでもらうと同時にバディを組む取り組みを行った。バディ制度はボランティアで登録した地域住民に、文字通り外国人のバディとして生活上の支援を行ってもらうもの。「基本的には一緒に買い物に行ったり、食事をしたりするなど、昭和の近所付き合いをしてお互いに助け合うイメージです」。バディの存在が賃貸人の安心感につながるため、空き家の活用が進むことが期待できる。

 

現在、バディの登録者は90名以上。愛知県のほか、岐阜県、三重県などの地域にも広がりを見せているという。

 

 

国交省事業で全国水平展開

 

21年には国土交通省の事業「住宅確保要配慮者向けセーフティネット住宅に付帯するバディの普及活動」で、バディの概要や実際に活用を行う際のポイント、実際の活動事例をパンフレットや動画の形でまとめており、全国への水平展開を行っている。また、バディ制度を活用したいと考える法人などへ支援を行って行く方針だ。

 

吉田社長はこれまでの取り組みから、空き家活用や住宅確保に困難を抱える人の課題の解消には地域の人のネットワークが重要だと認識したという。「○○さんが紹介する人なら入居してもらって構わない、という物件オーナーが多くいました。いかに人と人をつなげていくかといった視点が鍵になってくると思います」

 

「バディ」の普及に向けて冊子も作成している(出所:住宅相談センター)

 

 

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