社会福祉法人聖隷福祉事業団(浜松市)は病院7 棟、特別養護老人ホーム18 棟、有料老人ホーム12 棟など、1 都7 県において211 施設を運営(2022 年8 月現在)。
保健・医療・福祉・介護サービスを包括的に展開する国内最大規模の社会福祉法人だ。中期事業計画の中で、「聖隷DX」としてICT による生産性向上を重点項目に取り入れている。聖隷DX における見守りセンサーの位置づけ・効果などについて平川健二常務執行役員とエコナビスタ(東京都千代田区)の渡邉君人社長に話を聞いた。

 

 

――聖隷DXについて。
平川 2021~25年にあたる中期事業計画の柱の1つがDXだ。DX化によりデータベースを有効活用したいと考えている。当法人の事業の7割が医療事業であることから、病院や健診事業から上がってくるデータが主軸になる。介護事業では特養・有老・在宅介護など、サービスごとに管理していたデータを融合させる。蓄積したデータを厚労省や製薬会社などに活用してもらうことによる社会還元も行っていきたい考えだ。

 

 

――介護業界のDXについて。
渡邉 DXの根源は人手不足にあるため、介護業界を取り巻く労働環境下でDX化を余儀なくされた。国の施策としては生産性向上で人手不足を解決しようとしていたため、介護ロボットの領域ではパワードスーツがDXの起点になっている。パワードスーツは反復する動作に対して成果を挙げることができるが、介護の仕事は反復動作が全体の割合として少なかったため現場に浸透しづらい状況にあった。現在は見守りシステムに焦点が当たっており、今後、さらに人手不足を補う統合的な製品も出てくるだろう。こうした現在の介護DXは、業界変革に向けた進化過程という軸で見ると、第2の状況であると言われている。

利用者の睡眠データなどを見える化する

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https://info.liferhythmnavi.com/

 

――聖隷DXの一環として見守りシステムを導入した。
平川 見守りシステムはケアの質の向上、職員の働きやすい環境の提供に寄与するものだと思い導入を検討した。特に夜間勤務者の不安を解消するためには見守りセンサーの導入が不可避だと感じた。
19年から導入を検討し、比較検討のため複数社のセンサーを導入した。他社のセンサーは仕様が決められたもので柔軟に対応することが難しかったが、エコナビスタの「ライフリズムナビ+Dr.」は現場のニーズに合わせて、改良していくことができる仕様だった。また、現場からも使い勝手をイメージした時にライフリズムナビが良いとの意見があった。一緒に考えて現場を変えていくパートナーになれると感じライフリズムナビの導入を進めていった。
21年3月に5施設40台を導入。その後、22年に3施設300台導入。現在は既存施設の追加を含めて8施設およそ400台導入している。23年3月にも新規導入・増設を予定している。

 

渡邉 当社はクラウド型の見守りセンサーを提供している。ユーザーから出てきた声のフィードバックをソフトウェアに反映することや、新しい機能、バグに対して迅速に対応するためにはクラウドが必要になる。それらを繰り返しスピーディーに行えることがシステムの伸びしろとなっている。完成系ではなく、導入施設と共に成長していくにはクラウドが必須だ。

 

 

定例会議を通じ現場に浸透
――どのように見守りシステムを現場に浸透させたのか。
平川 導入当初は現場職員が使いこなせるのか心配だった。導入後、エコナビスタと毎月の定例会議を行っているが、現場では介護係長クラスのみが参加していたため情報がケアスタッフまで伝わらず、オペレーションが変わることに対し現場に抵抗感が生まれてしまった。一部の居室での導入であったことから全体でのオペレーション変更ではなかったことも影響していたが、介護係長クラスのみが一生懸命頑張ってくれていた状態だった。介護の管理職だけで現場に浸透させることは難しかったため、主任クラスのケアスタッフも定例会に参加することにした。主任クラスが加わることで、2~3ヵ月で劇的に報告内容が変わっていった。以前は「検討します」「持ち帰ります」という慎重なスタンスだったが、失敗を恐れずに取り組んでも良いという環境になったこと、やるべきことを明確にして実行できるようになったことが要因だと思う。効果が見えてくると順調に現場に浸透していった。

見守りシステム前提のオペレーションが組み立てられつつある

 

渡邉 経験豊富な職員がプロジェクトを推進することになったので、現場と共通言語で会話をしながら提案することができるようになったのも一因だと思う。また、定例会で好事例を発表した施設が出てから周りの施設が危機感を持ったこともトリガーになったと感じる。当初の定例会議の報告は、事象のまとめだった。
今では課題に対して目標設定が明確になっている。目標に対しても結果から、次の発表までがワンセットになっており、業務改善されていることが把握できる。

 

 

介護職経験者が運用サポート
――定例会議について。
渡邉 本部(運営管理部)が主導でシステムを導入している全施設を対象に、月1回、定例会議を初年度から継続して開催している。
エコナビスタはその定例会議に必ず参加し導入支援をしている。導入当初のカリキュラムも決まっており、施設ごとに個別に導入時に向けて準備すること、基本的な機能、取り組んだことの質疑応答、次の対策など説明している。当社はメーカーの立ち位置として参加しているため、システムの操作方法、データの見方などをサポートしている。加えて、全国のユーザーと伴走しながら積み上げた課題解決のための事例を豊富に保有しているため、実際に介護現場で生まれた事例に基づいた情報提供を行えている。カスタマーサクセスのメンバーは介護職経験者で、IT・IoTの知識のあるメンバーが担当しており、介護業務の経験者だからこそ、現場に寄り添った支援を行える。

 

平川 カスタマーサクセスのサポートがあるため現場が安心してシステムを使いこなすことができる。ICTの専門家から不慣れな専門用語で説明されるのではなく、元介護職員がサポートしてくれるので、現場を理解した立場から支援してくれていると好評だ。

事業者、メーカー双方の立場から意見交換が行われた

 

――定例会議を通じて感じたことは。
平川 定例会議の報告会を通じて効果の差が見えてきた。目標設定、ロードマップを明確している施設では素晴らしい事例が挙がっている。経営目線で考えると、有言実行することは難しい中で現場がどのような目標設定をし、どのように進めているか把握できることは嬉しく思う。特に介護付有料老人ホーム「横浜エデンの園」では、睡眠分析だけではなく、業務効率化やケアの質向上も意識している。使いこなすだけではなく、見守りシステムの優位性を入居案内にも活用し、施設の外にも発信している。介護施設は同じ業務を行っているが施設ごとにやり方が異なるため、好事例が全て当てはまるわけではない。施設ごとの文化を大切にしながら、定例会議などを通じて根気強く変えていきたい。

定例会議の様子

 

 

25年全室導入へ
――見守りシステム導入後、職員からの声は。
平川 導入してから約1年半になるが、見守りシステムがない業務は考えられないという声が出ているくらい現場に定着しており、システムがある前提のオペレーションが組み立てられつつある。システムの導入はユニット単位の方が進めやすいと思っていたが、部分的だと効果を実感することができない。現在、3施設では全室に導入している。全室に導入することで、職員の動きも把握できるようになった。

 

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自立者への活用も検討

――今後、見守りシステムに求めることは。
平川 見守りセンサーは3つフェーズがあると思う。
1つ目は導入のきっかけとなった緊急時に対応するためのツールとしての役割。2つ目は、入居者の身体レベル、睡眠状態など、今まで把握することができかったことを見える化することで、生活を改善できる点。そして3つ目は、蓄積された経時的なデータの変化から利用者の状態変化を予測できるものになるのではと考えている。入居時自立型のエデンの園では、要介護者の居室は約50室で、400室程度は自立者向けだ。

今後、健康な自立した入居者にも活用したいと考えている。自立者も日々の健康状態を把握したいだろうし、状態変化の予測につながれば、とても価値のあるものになる。
25年を目標に全室に見守りシステムを導入し、完璧に駆使できるようにしていきたいと考えている。

 

渡邉 人は段階的に健康に対する意識が変化してくるのは当然で、若いうちから認知症の心配をすることはないが、シニア世代に近づくにつれだんだんと気にするようになってくる。なかでも睡眠と認知症は密接な関係であることは学術論文でも発表されている。当社は亡くなる直前までのビッグデータを所有しているため、どのような生き方、食事、睡眠をすれば健康寿命が延伸するかの傾向値を導き出すことなども、今後実現を目指せるだろう。また、転倒転落の事故、ベッド上での排泄を予測する機能は実装可能になる手ごたえも出てきており、すでにそれに近いことは、今のライフリズムナビのアラートで通知することができている。
また、アラートの連続性と複数のアラートの組み合わせを見ながら、熱発の予兆・判断をしている事例も挙がってきている。これらをAIに置き換えていく作業にも着手していきたい。

 

 

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