新型センサーにAI搭載 1万名以上のデータを基に開発

エコナビスタ(東京都千代田区)は睡眠解析技術をベースにしたSaaS(Software as a Service)型高齢者施設見守りシステム「ライフリズムナビ+Dr.」を提供している。今年3月には、AI睡眠センサー「ライフリズムナビ新型SleepSensor」を企画・設計・製造まで自社開発により製品化。詳細を安田輝訓CTOに聞いた。

 

安田輝訓 CTO

 

 

――ライフリズムナビ+Dr.について。
安田 高齢者施設向けの見守りシステムで、3月時点で利用人数が1万人を超えた。ベッドセンサーを軸としながら、人感センサー、あけしめセンサーなどを用いて、睡眠時間や中途覚醒、トイレ回数などの生活状況、温度湿度をセンサーで取得する。また、センサーで集計されたデータを見やすく表示した「月間レポート」が作成可能。
利用者の生活リズム(ライフリズム)を把握し、アラート回数などから生活の変化を可視化しながら、ケアの提供をサポートする。

 

複数のセンサーを用いて生活リズムを見える化する

 

――クラウドを活用している。
安田 利用者の生活を可視化するためには膨大なデータを取得する必要があるため、ローカルではデータを処理することができない。
クラウド上でデータを一元管理することにより、新たな機能を追加する際に、迅速にサービスの提供が行える。

 

 

――新型センサーにはAIを内蔵している。
安田 センサーは単純な結果しか算出することができない。利用者の体型、ベッドの構造などで、正確なデータを取得できない場合があるため、AIを搭載する必要があると感じた。そこで、クラウドに蓄積している1万人以上のデータを基にAIを開発。センサーに搭載されたAIが利用者の体型・体動に合わせた設定に自動調整することにより、個人に合わせた判定が行える。同時にクラウドに内蔵されたAIと相互に判定することで、より正確なデータを取得できるようになった。
また、センサーマットは振動に弱いため、近くの空気清浄機、喀痰吸引器など、振動するものがあるとセンサーが人として検知してしまうことがあるが、AIが判別することができる。

 

 

異常検知から約5秒で通知
――検知から通知までの速度が向上した。
安田 通知を受け訪室したら、すでに居室にいないというケースを削減するため、施設から異常の検知から通知までの時間を短くして欲しいという要望があった。現場での使用目的を考えると数秒レベルでも早くするべきだと感じた。検知から通知するまで、一般的なセンサーはばらつきがあり30秒ほどかかることもあるが、新型センサーでは約5秒で通知することができるようになった。

※エコナビスタ提供(実験値/3回計測の平均値)

 

 

――センサーマットについて。
安田 センサーマットのサイズを大きくするとセンサーの感度が下がってしまうが、AIを内蔵することにより感度を維持したままマットを大きくすることができた。ベッド端からもデータを取得することができるようになり、手すりにもたれて寝るような利用者にも対応できる。また、眠りを計測するセンサーが利用者の眠りを阻害しないよう、センサーマットを薄くしている。薄くすることで、背中の下に違和感がなく睡眠ができるように寝心地に拘っている。当社では在宅向けの見守りシステムも提供しているため、介護ベッドだけではなく、敷布団でも違和感なく睡眠ができるように柔らかい素材を使用している。

 

 

クラウドでデータ一元管理 新機能追加時も提供容易に
――在宅向けのサービスは。
安田 東京ガスとシニアケアサポートサービス「ライフリズムナビ+HOME」を提供している。現在は個人宅、特にシニアのご家族に対してサービスを提供している。今後、居宅サービス提供事業者向けに利用者が帰宅してからの生活も把握できるサービス提供の仕組みを構築したいと考えている。

 

 

――製品の開発で心掛けていることは。
安田 見守りシステムは使い始めてからスタートになるため、導入後に施設から希望する機能があった際、対応できるものについてはサービスとして新たに開発・提供している。
過去には、「アラート発生時にクリックすると各居室の情報が出る」「スマートフォン対応」「介護記録との自動連携」などをいち早く行っている。

 

 

――今後について。
安田 施設からのフィードバックを反映させながら、新機能を開発してシステムを進化させていきたい。見守りセンサーは、ペースメーカーなどに影響があると心配する声があるが、電気的な仕掛けがないため安心して使用して欲しい。また、当社は睡眠のビッグデータをもとにAI解析する技術をコアにしているため、今後は高齢者だけでなく働き盛りも含めた健康面でのサポート、寝室だけでなく住まい全体を暮らしやすくするサービス、その他医療領域での貢献も可能とするシステムまで開発していきたい。更に、これらの技術を海外に展開することも視野に入れている。

 

【ライフリズムナビ®+Dr.問い合わせフォーム】
ライフリズムナビ®+Dr.に関する問い合わせは下記フォームよりご連絡ください。
▶問い合わせフォームはこちら
 https://info.liferhythmnavi.com/inquiry/
▶ライフリズムナビ®+Dr.公式サイトはこちら
 https://info.liferhythmnavi.com/

 

 

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