将来を見据えたナースコール 映像とレーダーで状態変化も検知 / ジーコム
ジーコム(東京都大田区)は10月、多機能無線ナースコールシステム「ココヘルパX」を発表。3Dレーダーと広角カメラを搭載し、呼出があった際の入居者の状態把握とともに、様々な変化に気づくことができる自動アラート機能を有す。介護施設専用の無線ナースコール販売のパイオニアで、トップクラスの導入数を誇る同社の杉原弘祥社長に話を聞いた。
――ココヘルパXについて
杉原 これまで当社が開発したナースコールの最上位機種になる。5年、10年先の介護現場を見据えて開発を行った。今後の介護現場は、利用者の状態変化を予測した先回りのケアを提供する必要性が高まると考え、ミリ波レーダーやサーモパイルセンサーなどの各種センサーを搭載している。また、スタッフが状態変化などの異変に気づきやすくするため管理画面を一新し、UXデザインを採用。体表温の変化などのリアルタイムのデータだけでは判断が難しいこともあるため、入居者個人の記録1週間分をトレンドグラフとして表示し変化を把握できるように見える化した。
ココヘルパX https://www.gcomm.co.jp/cocohelpa/x/
非接触で離床を検知
――多くの機能を有している
杉原 独自開発した3Dレーダーの搭載により、睡眠時の呼吸状態を自動計測する。レーダーは入居者の位置が把握できるので、入退室や居室内の活動状況が把握できる。睡眠状態は睡眠・臥床・座位・離床の4段階で判断する。3Dレーダーと映像による顔認識と骨格検出を組み合わせることで、ベッド上からは離床状態を把握することができる。また、サーモパイルセンサーにより、顔の皮膚温度から体表温をリアルタイムで計測。計測結果はトレンドグラフに表示されるため、急な体調変化などに早期で気づくことができるようになる。
ココヘルパX https://www.gcomm.co.jp/cocohelpa/x/
――見守りシステムとの連携を積極的に行っている
杉原 3Dレーダーは入居者の行動を検知することをメインに開発したため、睡眠の深度や心拍数までは把握することができない。より細かなバイタル情報などが必要な場合には、他社の見守りシステムとの連携が不可欠となる。そこで他社見守りシステムとの連携を推進し、組み合わせて活用することで、生産性向上に寄与していきたいと考えている。
――広角カメラを採用している
杉原 「ココヘルパVP」「ココヘルパVcam」とカメラ機能を搭載したナースコールシステム開発の知見を活かし、広角カメラは自社でカスタマイズしたものを採用している。一般的な居室を見守るカメラは天井に設置し、ベッド上の入居者の状態確認が目的となるが、広角レンズを採用することで居室全体の様子を把握することができる。カメラを意識しないで生活できるように装置下部のカメラレンズが分からないように工夫。ベッド横に設置することで3Dレーダーが最適位置から利用者の状態を計測している。
―― カメラ機能のメリットは
杉原 3Dレーダーとともに活用することで、夜間巡視の削減など生産性向上に寄与する。また、カメラの映像は常時録画することも可能で、スタッフの身体的拘束、言葉的拘束などの抑制にもつな将来を見据えたナースコール映像とレーダーで状態変化も検知がるように音声も常時録音。事故・事件性のあるアクシデントが発生した際に記録映像・音声を確認することができる。
ココヘルパX https://www.gcomm.co.jp/cocohelpa/x/
――オプションで骨伝導型インカムを提供
杉原 骨伝導型インカムは既存製品のココヘルパN以上のグレードから利用可能。スタッフが両手で作業でき、トランシーバー、ナースコール、電話応答も行える。将来的にはスタッフがスマホも持たずにケアに専念できる環境を構築したいと考えている。
骨伝導型インカム https://www.gcomm.co.jp/cocohelpa/headset/
――今後について
杉原 ココヘルパXは今後の機能拡張を想定しているためシステムに余力がある。入居者の状態を分析・解析することで有効活用できる幅が広がっていくだろう。既存のレーダー、カメラ機能で正確な情報を取得しながら、生産性向上に寄与できるシステムへと成長させたい。
ホームページ https://www.gcomm.co.jp/
ココヘルパX https://www.gcomm.co.jp/cocohelpa/x/