「医療手薄な場所に立地」 国交省、サ付き住宅調査 長期入院患者の受け皿に

2015年2月2日

国土交通省(以下、国交省)は「第3回サービス付き高齢者向け住宅の整備等のあり方に関する検討会」を開催した。その中で、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ付き住宅)の需要に対して供給が多い地域ほど、サ付き住宅から医療機関へのアクセスが悪い地域に立地する傾向にあることがわかった。

 

国交省はサ付き住宅の立地に関して、「整備は民間供給ベースに委ねられており、市町村の介護政策や、まちづくり政策と連動せずに、地価の安い郊外部に立地する傾向がある」と指摘。検討会では、整備実態において十分な調査を行ったうえで、「適正立地」の条件について検討を進めていく。

 

今回の調査では、サ付き住宅は地価が安い地域に多く供給されていることが判明。市街化区域以外の地区、公共交通機関へのアクセスの悪い地域に立地する傾向がみられた。

 

それに伴い、医療機関からの距離も遠のき、医療機関への連携・提携が行われにくいサ付き住宅も多数存在。その場合、長期入院患者の受け皿となっている可能性があることが示された。

 

また調査では、「一定の資格を保有していない職員により状況把握・生活相談サービスの提供を行う」「外部サービスの利用や看取りが必要になった場合の対応等について事前説明をしていない」「同一グループの訪問介護・看護のサービスや、入居者のケアプランを作成する」事業者が一定程度存在することも分かった。サ付き住宅が生活保護受給者の受け皿になっている傾向もみられ「重度の要介護者や認知症の人、医療処置の必要な者の入居も増えており、適切な医療・介護サービスの提供、看取りの対応ができることが望まれる」(国交省)としている。

 

さらに国交省は住所地特例により、郊外へのサ付き住宅供給が進むことを懸念しており、各地域において高齢者居住安定確保計画の策定を促進していく。

 

これについて(財)サービス付き高齢者向け住宅協会(東京都中央区)の奥村孝行事務局長は「補助金をもらっているものの、基本的には民間の自由競争だ。地方でも勝算があると考えて展開しており、コントロールするのは無理がある」とし、「サ付き住宅が生活保護受給者など低所得者の受け皿にもなっており、実地指導による監査を入れるなど一部の不正を是正するような対策が望まれる」と強調する。

 

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