パナソニックエイジフリーが全国で介護インフラ構築

2017年5月17日

パナソニックが介護事業に注力している。在宅介護、施設介護に加え、メーカーの強みを発揮した介護機器、介護用品の開発まで手掛けている。同社100%出資の子会社パナソニック エイジフリー(大阪府門真市)の取組みをレポートする。

 

もともと複数社あった介護事業を昨年4月に設立したパナソニック エイジフリーに集約。在宅から施設、介護機器・設備、介護ショップ事業まで総合的な展開を図っている。特に力を注ぐのが在宅介護サービス拠点「エイジフリーケアセンター」とサービス付き高齢者向け住宅「エイジフリーハウス」。

 

エイジフリーケアセンターはショートステイ、デイサービス、居宅介護支援事業を軸に展開する複合サービス拠点。地域のニーズや競合会社のサービス内容を踏まえ、訪問介護や訪問入浴サービスも設けることで、「〝泊まり〟〝通い〟〝訪問〟のサービスをワンストップで提供できる」(和久定信社長)のが利点。定員はショートステイが20名程度、デイサービスが最大40名程度。現在18都道府県に26拠点を開設している(単独メニューのケアセンターは93拠点)。サービス利用契約者数は単独事業所も含め約1万人に達する。

 

エイジフリーハウスは20室程度のサ付き住宅に小規模多機能型居宅介護を併設。24時間365日、サービス提供が可能で認知症にも対応する。東名阪を中心に42ヵ所で開設している。入居率は平均で8割以上を維持している。

 

将来的にはエイジフリーケアセンターを200ヵ所、エイジフリーハウスを150ヵ所開設する計画。

 

「地域の介護サービス資源を踏まえながら、介護のある暮らしのインフラ作りを進めている」(和久社長)。

 

「エイジフリーショップ」では、介護リフォームや介護用品レンタル・販売を手掛ける。

人口30万人規模のエリアを中心に、32都道府県で126店舗(フランチャイズ99店、直営27店)を展開。2015年度の介護リフォーム件数は2万7700件。介護用品のレンタル利用者は年間7万5000名に達する。

 

介護機器・設備事業では、ベッド、排せつ・入浴用品、手すり・住宅改修用品、施設向け水回り設備、リハビリ機器などメーカーの開発力を武器に多様な製品を供給。「リショーネPlus」は、リクライニングベッドの一部が車椅子に転換する機能を備えた新発想の離床アシストロボット。車椅子への移乗負担を大幅に軽減する。2016年「介護ロボット導入好事例表彰事業」優秀賞を受賞。今年1月に販売を開始した。リハビリナビゲーションシステム「デジタルミラー」は、自分の姿勢を確認しながら、様々なトレーニングができる機器。リハビリ効果の測定・比較も可能だ。

 

「介護現場のあらゆるニーズを吸い上げ商品開発に活かしている」(和久社長)
センシング技術を活用した各種見守りシステムをはじめ、IoTやAIを駆使し、要介護の重度化や転倒を未然に防止するシステムも順次市場に投入していく。

 

同社が介護事業をスタートしたのは1998年の有料老人ホーム事業から。来年で20周年を迎える。介護サービスの拡大に伴い、人材育成・教育によるスキルアップの仕組みやキャリアアップ制度を構築。新入・一般社員からリーダー、所長、課長、部長クラスなどキャリアの節目でステップアップできる。

 

「社会福祉法人や医療法人でなければできないこと以外、ほぼ全ての介護サービスを手掛けている。今後も介護インフラの提供を通じて、地域コミュニティの発展に貢献していきたい」(和久社長)

 

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