吉本芸人が仮想ツアー「いながら旅行」新サービス HITOWAケアサービス
HITOWAケアサービス(東京都港区)は11月30日より、吉本興業所属芸人のナビゲートで楽しむ「イリーゼトラベル バーチャルツアー」(以下・ツアー)サービスの試験運用を開始した。コロナ禍でも安全に旅行の雰囲気を感じることができると、参加者から好評だ。
このツアーは、同法人が運営する施設の入居者から「新型コロナウイルスの影響で外出できず、好きだった旅行にも行けない」という声が挙がったことから考案された。プログラムを盛り上げるため、コロナ禍以前から施設のレクリエーションに芸人を派遣していた吉本興業の協力を得て、芸人がレポーターとして参加する企画となった。

現地の吉本芸人が旅の案内役を務めた
ツアーは、芸人が現地で風景を撮影しながら観光レポートを行い、施設側のスクリーンにリアルタイムでその様子を投影する方式。企画やスケジュール、レポーターの台本作成は、旅行業務取扱管理者資格を持つ同社のスタッフが行う。現地と音声通話が可能で、入居者は芸人との会話や出題される観光クイズを楽しめる。ツアーの最後には、参加者同士で感想を共有できる喫茶会の時間が設けられており、その地の銘菓・特産品が茶菓子として提供される。
動画中継でリアルタイムに体験 「旅行に行けない」利用者の声受け
初回となる11月30日のツアーでは、同社の介護付有料老人ホーム「イリーゼ」10施設と中継を結び、入居者約100名が1時間ほどのスケジュールで体験。日本最古の学校として国の史跡に指定されている、栃木県足利市の足利学校を巡った。レポーター役は、吉本興業の「あなたの街に“住みます”プロジェクト」で地域に根差した芸能活動を行っている上原チョー氏とベリー大坪氏が担当。
当日の中継は、足利駅からスタート。レポーターの自己紹介が終わると、車で足利学校へと向かった。移動中はレポーターの冗談が場を盛り上げた。足利学校到着後は、見頃を迎えた紅葉を眺めながら、参加者全員で童謡「ふるさと」を合唱。
その後、史跡の参観へと移り、「入徳門(にゅうとくもん)」や「宥座の器(ゆうざのき)」などを巡った。
ツアー後の喫茶会には足利市の老舗菓子店のどら焼きが提供され、参加者はご当地の味に舌鼓を打ちながら、「自分は昔、実際に行ったことがある」「今度は違う場所も見てみたい」「クイズに全問正解した」など、「旅」の話題に花を咲かせた。
また、施設職員からも、「コロナ禍でレクに困っていたところだった。入居者に非常に喜んでもらえた」と好評だったという。
試験運用は来年春まで。その後は、運用の結果を反映の上、全国の介護事業者へサービス提供を開始する予定だ。