福祉車両の扱い学ぶ講習会 座学・実技で解説 福祉車両安全研究会
カーリースのアイ・ティ・エスが立ち上げた非営利団体福祉車両安全研究会(東京都杉並区)では、施設管理者、送迎ドライバー向けの事故防止講習会を昨年12月より実施している。施設を個別に訪問し、座学と実車を用いた講習で、事故防止のポイントを解説する。2021年度は、全国で100件の開催を目指す。
講師となるのは、アイ・ティ・エスの職員3名。福祉車両の専門知識を持った「福祉車輌取扱士」の養成を行っている一般社団法人日本福祉車両協会から、インストラクターとして認定されている。
施設の送迎車用いて説明
2時間程度の所要時間で、座学では送迎中の事故発生メカニズムや車両の死角、運転上の注意点などについて、動画を用いて解説する。実技ではシートベルトの正しい掛け方、車椅子の正しい固定法、架装装置の安全な操作方法や故障を防ぐ方法などを施設で実際に使用している車を用いて学ぶ。知識を付けることで重大事故を未然に防ぎ、利用者及び送迎担当者を守ることが目的だ。研修は首都圏を中心に全国で実施可能。料金は、出張先の施設の場所や人数によって異なる。
これまでに、沖縄県で12回開催している。日本赤十字社沖縄支部の福祉施設などから依頼があった。実技研修が好評で、所要時間のほとんどを使うこともあったという。

講習では実車を使って安全な操作方法を学ぶ
インストラクターとして活動しているアイ・ティ・エスの丸藤翔平CSR室長は、事業を始めた背景には、福祉車両が重大な事故を起こすことが多いという現状があると話す。

アイ・ティ・エス 丸藤翔平 レンタカー営業部部長兼 CSR室長
「福祉車両の正しい運用方法を学べる講習が少ないため、安全な扱い方を習得している人が居ないことがその原因だと思われる」。近年発生した送迎中に車両が横転し利用者が死亡した事故の例では、シートベルトが正しく装着されておらず、事故の衝撃で腹部が圧迫されたことが死亡原因とされている。「本来であれば、車椅子の車輪を介してベルトを固定するべきだった。正しい知識を身に着けていれば最悪の結果を回避できたはず」と指摘する。
21年度は、首都圏を中心に100回開催を目指す。新型コロナ収束後には、複数施設を対象とした合同講習会の開催予定。