介護施設向け“参加型”オンラインツアー 生中継による臨場感
介護施設向け旅行サービス「旅介(タビスケ)」を運営する東京トラベルパートナーズ(東京都渋谷区)は、コロナ禍で旅行が難しくなった昨年から介護施設向けに「旅介オンラインツアー」を開始。レポーターとリアルタイムでコミュニケーションをとりながら視聴できる〝参加型ツアー〞が特徴となっている。
同社は、視聴サイト「旅介ちゃんねる」を介し、登録する会員に向けてオンラインツアーを提供している。現在の登録数は約550施設で、このほか、個別の法人向けにアレンジしたオリジナルのオンラインツアーも提供する。
このオリジナルツアーを施設のレクリエーションとして導入しているのが、SOMPOケア(東京都品川区)だ。
5月には、「SOMPOケアそんぽの家ひばりが丘」(同西東京市)をはじめとする介護付有料老人ホーム10施設が「富士芝桜まつり」(山梨県)のツアーに参加した。

ツアーを楽しむ「SOMPOケアそんぽの家ひばりが丘」の入居者
ツアーでは、介護福祉士でもあるリポーターと富士芝桜まつりのスタッフが会場内を歩きながら、芝桜の説明や見どころを紹介。リポーターは施設名・スタッフの名前を交え、入居者に問いかけをする。それに対し、施設スタッフがチャットを通じて返答。入居者の声や反応を送ることで、画面の中の出演者とコミュニケーションがとれる。ツアー内では、芝桜クイズや、足踏みなどの体操を取り入れ、頭や体を動かしながら積極的に参加できる内容となっている。
また「会場内はバリアフリーで、車椅子も通れる」など、実際に行く場合も安心して参加できるポイントを紹介。リアルで介護施設向けに旅行を提供してきた企業ならではの配慮が組み込まれている。
導入を決めた理由については「入居者の視点でつくられたツアー内容で安心感がある。映像も高画質で、臨場感を楽しめると考えた」と中濱健太地域包括ケア推進部企画Gシニアリーダー。 施設スタッフからは「オンラインツアーを機に入居者の思い出の旅行エピソードを聞くことができ、ほかのレクのアイディアにつながった」との声もあったという。
東京トラベルパートナーズの栗原茂行社長は「感染症が落ち着いても、介護施設向けのオンラインツアーの需要は残ると考える。介護施設の定番レクとして広め、年内には全体で3000施設への導入を目指す」と語った。

東京トラベルパートナーズ 栗原茂行社長