身元保証、信託で預託金保全 一般社団法人全国シルバーライフ保証協会(東京都中央区)
設立30年のベストファームGが母体
かつて、預託金の流用が発覚し、後に破綻した「日本ライフ協会」の事件によりイメージを大きく損ねた身元保証サービス。しかし、今後は身寄りのない高齢者の増加が予想される中で必要とされるサービスの一つだ。2012年に設立し、累計約1500名にサービスを提供してきたという一般社団法人全国シルバーライフ保証協会(東京都中央区)の斉藤浩一代表理事に話を聞いた。

斉藤浩一代表理事
──身元保証に関するサービスを開始したきっかけは
斉藤 当法人は司法書士や税理士などの専門家集団で、今年設立30年になるベストファームグループが母体。かねてより高齢者の身元保証のニーズはあったし、士業のワンストップサービスを提供したいと考えていたことがきっかけだ。 我々がサービスを開始した2011年当時は事業としての先例が少なく、士業の仲間には「止めた方が良い」とよく言われていた。今ではシルバーライフ全国ネットワークとして、北海道から九州まで11ヵ所の窓口がある。

士業を母体とするネットワークに強み
運営の安全性訴求
──どのようなニーズが多いのか
斉藤 やはり高齢者施設の入居身元保証についての相談が多い。当協会では、入居する契約者の(施設に対する)債務の連帯保証、入退院の手配協力、退去時の身元引受、残置物搬出など、本来貸主側が抱える必要のないリスクを家族などに代わり請け負う。 また、生活事務、財産管理、任意後見、死後の遺品整理・遺言執行などに至るまで士業を中心とした専門家ネットワークであらゆることに全国で対応できる点も特徴だ。契約後は担当者が定期訪問する。
──契約・費用については
斉藤 契約は入居する本人と当協会が結ぶ。いくつかのセットプランや希望に応じたオプションを用意している。契約時に85万円程度、月々8800円、これに生前に支払う死亡事務費用を加えると100万円超になる。現状、スタッフの定期訪問や預託金の保全などをしっかりやろうとするとこのくらいの価格設定となる。
──同業他社と比較してサービスの違いは
斉藤 特性上、正直どこも商品内容は近しいのではないか。当協会では契約者に安心して利用してもらうことを最も重視し、透明性を高めている。 業者によってはサービス提供の運転資金に契約者からの寄付金を当てているというケースも存在するが、当協会ではもちろん正規料金の範囲で運営を成り立たせている。また、預かった預託金は当協会で管理せず信託会社へ信託する。信託された財産は、万が一信託会社が倒産しても信託法により全額保護される。信託会社は目的ごとに分けて財産を預かるため、死後事務用途として預けた場合には違う用途で使われることがない。
──これから利用を検討する高齢者がより増えてくる。身元保証サービスを選ぶ際の注意点は
斉藤 自身の判断能力が衰えてくる前に相談し、しっかりと最後まで機能する組織なのかどうか、見極めができることが望ましい。コストで比較することもあると思うが大きくは変わらないだろう。コストだけを判断材料にすることは避けた方が良い。 サービスを開始した10年前、説明会で高齢男性に「本当にお前に預けて大丈夫なのか?」と真剣な眼差しで問われたことが印象に残っている。本人がこれからの人生を生きるための大切な資産だということをより強く認識した。 今後は初期費用を抑えたプランや、4月には身元保証とは別に「オーダーメイド終活」といった商品も扱っていく予定だ。