eスポーツで介護予防 北海道でプログラムスタート NTTe-Sportsら

2022年8月18日

高齢者が「太鼓の達人」楽しむ 半年間で36名の参加を目指す

 

 

eスポーツを活用して、住民の介護予防・健康維持、及び地域コミュニティの活性化を目指す新たな取り組みが北海道上士幌町で今月よりスタートした。高齢者が「太鼓の達人」などのリズムゲームを楽しむ教室を来年3月まで実施する。

 

 

上士幌町は北海道のほぼ中央に位置する酪農などの第一次産業が盛んな人口約5000人の町。これまでにも、高齢者にタブレット端末を保有してもらい、そこから福祉バスを予約できる仕組みを導入するなどしており、町民は比較的ICT機器に馴染みがあるという。

 

 

今回新たにスタートした「かみしほろ『高齢者eスポーツ』プログラム」は、概ね60歳以上で事前に参加登録した町民を対象に、毎週水曜日に町の健康増進センターで1日2コマ(1コマ1時間)実施するもの。1コマの参加(登録)定員は6名。3ヵ月を1クールとし、来年3月末までの3クールで合計36名の参加を目指す。

 

プログラムの企画、ゲーム機材の提供などはNTT東日本の関連会社NTTe-Sports ( 東京都新宿区)が担当。また、東北海道第一興商(北海道帯広市)が音楽レクリエーションの専門家である音楽健康指導士を手配し、eスポーツ前後のリズム体操を含めた当日のプログラム運営を担当する。

 

上士幌町では、これまでも週に1回、高齢者向けの体操教室を実施してきたが、参加者が固定されがちという課題があったという。
「eスポーツという別な形の通いの場ができることで、新たな参加者の増加、特に男性の参加が見込めるのではないでしょうか」と町では期待を寄せている。

 

 

 

他の自治体にも導入提案を予定

 

eスポーツをはじめとするテレビ・ネットゲームは「指や身体を動かす」「作戦を考えるなど脳を使う」「音や振動などが刺激になる」「勝利の喜びやクリアの充実感が心に刺激を与える」などの面で介護予防や認知症予防に効果があると言われている。

 

これまでにもゲーム機器メーカーやゲームセンター運営会社などが、介護現場や地域の介護予防教室などでの活用を提案している。しかし「ゲームを日常的に楽しんだ世代が利用者にいない」「大都市圏以外ではゲームが気軽にできる環境にない」「機材が高い・保管場所がない」などの理由から、これまではあまり大きな動きにはなっていなかったのが現実だ。

 

しかし、家庭用テレビゲーム機の発売から40年が過ぎ、「ゲーム世代」が高齢者の仲間入りを始めていることもあり、今後はこうしたeスポーツなどゲームを介護や介護予防の現場で活用するケースが増えていくものと思われる。

 

 

NTTe-Sportsでは今後、ほかの自治体にも同様の提案を進めていくほか、eスポーツを高齢者だけでなく障害者の社会参画などにも活用していきたい考えだ。

 

 

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