運動と認知機能 関係性検証 小林製薬とカーブスが実証実験
小林製薬(大阪市)とカーブスジャパン(東京都港区)は10月11日より、運動習慣と認知機能や健康指標の関係性を検証する実証実験「いきいきシニアプロジェクト」を始動する。新型コロナウイルス感染症拡大の影響による活動制限により懸念される認知機能低下の早期発見・予防を目指す。
コロナ禍、健康に課題〝香り〟で早期発見へ
大阪府阪南市の後援を受けて進められる同実証実験には、阪南市在住の65歳以上の女性約60名が参加。10月11日に開かれる市内健康イベントにおける参加者募集にて始動し、11月から6ヵ月間の検証を予定している。
実証の方法について、参加者を週3回運動するグループと、運動しないグループとに分け、3ヵ月ごとに小林製薬の香りによる認知機能スクリーニングキット「ニンテスト」を用いた認知機能のスクリーニング、BMI測定などを実施。定期的な運動習慣とそれらの関係性を検証していく。
「ニンテスト」の活用方法としては、評価カップにスプレーした6種類の香料液の香りを被験者に嗅いでもらい、回答から算出したスコアにより認知機能のレベルを判定するもの。約5分のテスト時間で迅速に判定ができ、被験者の負担も少ない点が特徴だ。
運動内容については、女性専用の30分フィットネス「カーブス」で行っているサーキットトレーニングを週3回のペースで実施予定。このトレーニングは、筋力トレーニング(12種類)と有酸素運動を30秒ずつ交互に行いながらサーキットを2周し、最後にストレッチで終了するもので、1回30分で健康づくりに必要な全てのトレーニングが行えるという。このトレーニングは東北大学加齢医学研究所の川島隆太研究室との共同研究により、認知機能の改善に効果があると実証されている。

カーブスで行う30分トレーニングの内容
コロナ禍において、特に高齢者の生活習慣病や要介護、心や体が衰えた状態になるフレイルなどの健康課題が懸念される。また、厚生労働省の推計によると、2025年には65歳以上高齢者の5人に1人、約700万人が認知症になると予測されている。認知機能低下の予防には、その兆候を早期発見し、対策をすることが重要だ。
こうした社会課題の解決に取り組む小林製薬、カーブスの両社が協定を結んでいる大阪府阪南市をフィールドに、同プロジェクトで社会課題の解決に向けた糸口の発見を目指していく。