高齢化進む団地に保健室 藤田医科大学 UR都市機構、豊明市と包括協定
藤田医科大学(愛知県豊明市)は、運営する同大学地域包括ケア中核センターの機能の1つとして、高齢化が進む市内の豊明団地(約2000世帯)の商店街で「ふじたまちかど保健室」を運営。団地や周辺地域住民対象の無料健康相談、体操や脳トレなどの健康講座などを行っている。
コロナ禍も行事を工夫
保健室設置は大学がUR都市機構、豊明市と包括協定を結び、団地自治会とともに取り組む「けやきいきいきプロジェクト」の一環でもある。中心的に関わるスタッフは12名(看護師6、理学療法士5、作業療法士1)で5、6名が常駐。他のセンタースタッフも必要に応じて関わる。
10時〜15時まで行う無料相談は件数がコロナ禍以降増えており、2019年度の267件に対して21年度は596件。相談内容はもともと高齢者に関する医療機関の受診前後のものが多いが、コロナ禍以降は認知機能や体力の低下に関わる相談、参加・活動できるサロンなどの紹介依頼も増えたという。
保健室での講座はコロナ禍以降、実施数・参加人数とも減らし、以前はあった講座参加者が自分の講座を持ち講師を務める取り組みも休止中。一方「例えば団地内の公園のモニュメントなどの写真を提示してどの公園かを探す散歩へ誘い、報告して当たったら景品を提供するなどの取り組みもしています」とスタッフで看護師の川上友美氏。ワクチン接種の予約や副反応など細かなことをぶらりと立ち寄って聞くこともできる。
団地には地域活動への参加を条件に空き部屋を大学の学生に家賃割引で提供するしくみがある。職員を含め約80名が暮らし、高齢者の生活の現状などを知るのに役立てている。
学生は行事の手伝いほか、各種の班を作り自主的な企画にも取り組む。例えば、月1回の高齢者へのモバイル支援も人気は高い。買い物支援では、歩きながら話すのを楽しみにしている独居の高齢者もいるという。「自治会の子ども向け行事終了後、親の帰宅が遅い子の世話を学生が行った際には自治会の方から『ありがとう』とお礼をいただきました」(川上氏)。
同大学では保健室の近くにある団地の「けやきテラス」に、開発した介護ロボットなどを体験できる「ロボティックスマートホーム」も開設し、団地住民などへの体験会も開催。「こうしたものに不安を持つ方も多いので、不安を取り除けるよう案内役、繋ぎ役を務めるのも保健室の役割」と保健室管理者で理学療法士の都築晃氏。
今後の課題として、増加する単身者や外国人住民とその高齢化、出張型保健室への取り組みを挙げた。
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ふじたまちかど保健室(写真右)実施の、学生が企画したウォークラリー大会の様子