運営止めず大規模修繕 「住・働」空間リノベ 社会福祉法人基弘会(大阪市)

2022年10月13日

社会福祉法人基弘会(大阪市)は2月より運営する特養・ショートステイの運営を継続させながらの大規模リノベーションを実施している。入居者のイベントプランなども減らすことなく施工を進めている。

 

 

川西収治本部長

 

 

社会福祉法人基弘会は大阪、仙台でそれぞれ特養を運営。今回リノベーションを実施しているのは大阪市内の特養「夢の箱勝山」。 1階はパブリックスペースや厨房、2階から6階が居住スペース。全100室・10ユニットからなる同施設は開設10年、経年による補修が必要な箇所はあるものの、施設自体は大規模改修が必要なほど古い印象ではない。

 

同法人は早くから接客・接遇力向上に取り組んできた。サービスを受ける人は「入居者・利用者」ではなく、「お客様」であるという意識付けをスタッフに徹底している。
「時代の変化に合わせ、これからの高齢者に選ばれる施設としてサービスレベル向上、心地よい居住空間への変化が必要」(川西収治本部長)との考えから、開設10周年記念事業として総額4億5000万円の全館リノベーションに踏み切った。

 

 

川西本部長は設計事務所に勤めた経験を持つ一級建築士でもある。

今回の改修の一番の課題は、いかに入居者の生活の質を落とさずに大規模改修を進めていくかということ。

 

そこで改修はユニットごとに進めていく手法を採用。1階にあるパブリックスペースや倉庫などを活用し、10の居室とキッチンを設置した仮設ユニットを造設した。1ユニットの工期は約2週間。また、パブリックスペースで行っていたアクティビティや行事については実施方法を工夫し、各ユニットのリビングスペースを使って回数を減らすことなく開催した。

 

 

浴室の壁画

 

 

改修期間中も特養・ショートの稼働を落とすことなく収入は維持。また追加した仮設ユニットの夜間人員配置は短時間夜勤シフトなどにより支出も最低限に抑えた。

川西本部長は「運営中の大規模改修はどうしてもオペレーションの工夫が求められる。空間のバリューアップ以上に、チームビルディング・人材育成という副産物があった」と話す。

 

 

元々施設の設計・デザインに拘りが強い同法人。「スタッフの業務負担を減らす環境設計は採用戦略の一環」(川西本部長)

 

 

洗い物などが見えにくい

 

 

改修ではスタッフの使用頻度が高いキッチンを腰への負担を配慮した高さに変更。シンク回りには洗い物などがリビングからは見えにくいよう、高さ数十センチの囲いの設計にした。同様に収納は中身を見せないようカラーの扉や引き出し仕様に変更。薬品保管用の鍵付き収納は動線を考慮した位置に配置した。

 

 

収納はデザインと利便性を考慮

 

 

 

パブリックスペースやスタッフルームも含め、すべての居室・食堂のリノベーションは11月に完成予定だ。

 

 

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