来期売上110億円へ エリア戦略奏功、新設・M&A加速 カスケードグループ

2022年11月14日

 

 

関東を中心に1都7県で整形外科内科クリニック・整骨鍼灸院を始めとし、デイケア、デイサービスなど多事業を展開するカスケードグループ(東京都港区)。新設・M&Aも加速し、今期の売上高は約78億円(2022年10月期)で着地見込み。来期は110億円を目指す。「技術・サービスを追求し大競争時代の道を切り拓く」と語る篠原興道社長に話を聞いた。

 

 

カスケードグループ 篠原興道社長

 

 

独自のeラーニング開発

 

――事業概要は

グループは15法人から成る。医療部門ではクリニックや整骨院・鍼灸院・マッサージ院など、介護部門ではデイやショート・有老・ホスピス住宅などのラインナップを揃え、地域包括ケアシステムに資するサービス提供体制を構築。ほか、放課後等デイサービスやリラクゼーションサロンなど事業を多角化してきた。エリア戦略としては、病院が多く、在宅サービスの需要が高いと見込む千葉県市川市の行徳エリアを中心に展開。特に今年は30ヵ所以上これらの事業所を新設し、店舗数を伸ばしている。

 

介護事業所においては、PTなどリハビリ専門職が常駐し、手技療法、運動療法、機能訓練と多方面から高い技術でアプローチする、「痛み」に対するリハビリが強み。経営の中核を担い、40ヵ所展開するデイでは、短時間の入浴や機能訓練特化型、言語・摂食嚥下リハビリ特化型など12種類を運営。地域は同じようなデイであふれる中、本当に必要とされるサービスを当社がキャッチアップし、利用者が自分に合うサービスを選択できるよう地域で包括的に展開している。

 

 

――会社の成長ポイントは何と考えるか

教育に重点を置くこと。「教育」「研究」「自己成長ができる」環境の提供を目的に起業した背景もあり、私は介護業界は人が〝来ない〞のではなく〝育てていない〞と考える。まずは部門長や責任者をきちんと決めることが重要。「任せられない」と言う経営者は多いが、当社では「部下に自分の仕事を奪わせる」ことを常々伝える。奪われ、生まれた時間でさらに新たな仕事ができる。

 

また、「自立・興道・あきらめない」と掲げる経営理念を、私と同じ熱量で語れる部門長を6 名育てている。さらに副部門長まで理念・実践を浸透させ、中間管理職をしっかりと育成。1人で10億円稼げる組織を目指している。

 

さらに注力するのがeラーニング。システム会社を買収し、独自の研修システムを構築。職員が主体的に自身のノウハウや失敗経験をほかの職員に向けて動画で共有するシステムだ。介助や接客技術、書類の作成方法などコンテンツは職員が動画投稿するたび増え、刷新される。ベテラン職員の知見が学べ、テストも設けるため習熟度が上がり、サービスの均質化にもつながる。このeラーニングシステムは今年、外販も開始している。

 

 

eラーニングシステムで人材育成。外販も行う

 

 

 

――これらの教育はM&Aにも活かしている

M&Aはここ2、3年は毎年10件のペースで進めている。2020年に譲受した浦安の大型デイなど事業所譲渡の案件や、今年グループ会社になった元上場企業の子会社など法人譲渡の案件もある。

 

M&Aの方針としては、赤字再生と稼働率改善が目的。あるケースでは月間売上2300万円だった介護施設を2年で倍近い4300万円まで上がるよう立て直した。そのような事業所は、業務の〝やりすぎ〞が多い。過剰なサービス提供や人員配置、こだわりから生まれる間違った作業など、全職員と面談を通じ、〝やりすぎ〞の適正化を図り再生してきた。加えて、人材育成には当社のeラーニングシステムも大きく寄与する。
「家賃比率10%以下にできる見込みがある事業所は再生可能」という見立てのもと、今後も積極的にM&Aを進める。

 

 

――今後の展望は

来年度は売上110億円を予定。行徳で構築できているエリア展開を、将来的に全国7ヵ所で実現させたい。

 

円安の情勢などを鑑みて、台湾などへの展開も構想に入れ、視察を計画中。また、他社に先駆け、住宅業界で注目される「3Dプリンター住宅」を手掛けるセレンディクス社と業務提携した。安価で丈夫な3Dプリンターで福祉施設を建設する時代が来るだろう。「未来」にも目をつけながら成長を加速させ、大競争時代を生き抜いていく。

 

 

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