さくら薬局グループの全株取得 投資ファンドのNSSK 全国900店舗展開
2022年11月16日
2月にはADR申請
投資ファンドの日本産業推進機構グループ(東京都港区/以下・NSSK)は10月14日、調剤大手のさくら薬局グループのクラフト(東京都千代田区)の全株式を株式譲渡契約により取得することを発表。同社の経営支援を行っていくとした。
取得価格は非公表。クラフトは、首都圏や関西、東海地方など人口集積エリアを中心に調剤薬局約900店舗を展開。事業規模は業界3位で、グループ全体で21年度3月期の売上高は約1900億円となっている。しかし、M&Aによる店舗数拡大などが原因で経営破綻を引き起こし、今年2月には私的整理の事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を申し立てていた。
NSSKは、クラフトがこれまでに築き上げてきた事業基盤を生かしつつ、独自の経営支援パッケージである「NVP」、メンバーが培ってきた知見や国内外のネットワークを活用することで、新規出店の実施、地域医療貢献などの各種体制強化を図る。
さらに、既存店舗の売下高の増加、経営管理指標の見える化を含む経営管理手法の導入、ガバナンスコンプライアンス体制の強化、コーポレート・フィロソフィーの浸透及びESG活動の推進などを行い、クラフトが次のステージに向け成長するための施策の立案・実践をしていくとした。
NSSKは2016年に介護大手のヴァティー(東京都港区)を買収。今年に入りケアメディカル(埼玉県春日部市)に出資するなど、介護事業者への投資も積極的に手掛けている。