「在宅医療、DX推進を」 連携体制の構築急務 在宅医療政治連盟

2023年3月29日

 

 

在宅医療政治連盟(東京都千代田区)は2月7日、第6回「在宅医療の集い」を開催した。

今回は「高齢化の進展と在宅医療の役割~現状とデジタル化の課題~」をテーマに、講演及び座談会が行われた。会場とオンライン合わせて約480名が参加した。

 

 

島田潔会長

 

 

 

基調講演では、前厚生労働大臣、自由民主党の田村憲久衆議院議員が登壇。

 

人口動態を見ると、2020年の生産年齢人口は7400万人。40年には約6000万人を切る。

一方、高齢者は40年に約3900万人、20年比で約300万人増となる予想だ。高齢者数の増加に伴い、40年には医療・福祉分野の人材が需要ベースで約1070万人必要となるが、確保が見込まれているのは約974万人。そのギャップを解消する必要があるが、在宅の現場では特にヘルパー不足が深刻化する。また、在宅医療を支える開業医の約半数が60歳以上となっている現状がある。

 

今後、外来患者数が減少する反面、在宅の患者数は増加する。自宅や高齢者施設での看取り数も増えていく傾向にある。一方で、在宅医療では24時間365日の体制で患者を支えることが求められる。医師の高齢化で患者を支え切れなくなる可能性がある。

 

 

田村議員は、「在宅医療の提供体制を確保するためには、診療所の連携強化、ICTによる効率化、在宅医療への参加を診療所・病院に促すことが求められる」と指摘。

 

在宅療養支援病院の数は順調に増加を続けているが、在宅療養支援診療所の数は近年伸び悩んでいる課題がある。在支診について「もっと強化が必要」と田村議員は語り、これまで在宅医療を提供していなかった診療所や、新たに開設する診療所に積極的に働きかけることが必要とした。そして、ICTを活用したオンライン診療などで、地域の医療を維持している取り組み例などを紹介した。

 

 

 

「面」で患者支える仕組み 協議の場、積極的活用へ

 

 

田村憲久衆議院議員(右)と今枝宗一郎衆議院議員(左)

 

 

 

基調講演に続いて、田村議員と自民党の今枝宗一郎衆議院議員による座談会が行われた。
田村議員は、先の医師の高齢化も踏まえて、「在宅医療の関係者がどのように役割を分担し連携するか各地域で協議し、点でなく面で患者を支える体制が重要」と意見した。そのためには、医療DXの推進が鍵を握るとした。

 

それについて今枝議員は、経済産業省によるIT補助金など幅広い支援策が実施されていることを述べた。参加者からの質問で、「デジタル化においてメーカーに期待していること」を問われた際、今枝議員は「IT補助金のような情報が現場に届き切らない現状がある」と述べ、その普及への協力を求めた。

 

 

最後に、島田潔会長が閉会の挨拶で「医療・看護・介護の声を政治に届けていく必要ある。そのために今日参加している皆の協力が不可欠」と語り、会を締めくくった。

 

 

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