急性期患者の受け皿に 在宅医療の“バックベッド”  tumsグループ

2023年3月29日

 

 

東京都の城東地区を中心に医療・介護・保育を総合展開するtumsグループ(同江戸川区)は2月、グループ6拠点目となる病院「タムス瑞江病院」を開院した。高度急性期と慢性期の中間の医療を担い、在宅医療の相談機関、バックベッドとしての役割も果たす。喜屋武秀文院長に開院の背景を聞いた。

 

 

タムス瑞江病院
喜屋武秀文院長

 

 

 

整形外科に重点

 

 

――病院の概要は

喜屋武 急性期一般病床15床、地域包括ケア病床45床からなる。診療科目は整形外科、内科など。特に整形外科には重点を置く。CT・MRIなど、画像診断に必要な検査機器を揃えたほか、手術室も1室完備。股関節専門手術にも対応できる。手術後のリハビリテーションもグループの総合力を生かし提供する。

 

2次医療圏でいう区東部にあたる江東区、江戸川区、荒川区で、高度急性期と慢性期の中間に位置する医療を担う。従来、この地域にはこうした位置づけの病院が少なく、急性期患者が他医療圏に流れてしまうといった課題があった。当院では、こうした急性期患者の受け皿となりつつ、高度急性期でしか診られない人は他院に繋ぐ〝ゲートキーパー〞としての機能も果たしていきたい。地域の医療効率化に寄与できると考えている。

 

 

 

――地域医療の質も上がる

喜屋武 グループではこれまで慢性期を中心に担ってきた中で、高齢者の骨折治療に必要となる整形外科手術などに対応できないといった歯がゆさを感じていた。高齢者が患いやすい疾病の中には、胆のう炎や鼠経ヘルニアなど、悪化すると生命に関わるものもある。また、近年では認知症で転倒する高齢者も増えている。当院の開院により、そうした治療にもすぐに対応できるようになる。開院後も、救急体制の強化を図っていく考えだ。

 

 

手術室

 

 

 

―― 急性期病床に加え、地域包括ケア病床とした理由は

喜屋武 在宅医療を支える役割を担うため。病院から在宅へ、という流れを国が推進する中で、どうしてもクリニックだけでは対応できない患者も出てくる。そうした場合に当院が窓口となり相談を受け付けるほか、入院治療を行い、自宅や施設に戻すという循環を作る。当院がこうした役割を果たすことで在宅医療の質は各段に上がるだろう。

 

 

――グループの事業展開の特徴は

喜屋武 医療・福祉にまたがり、急性期と慢性期の間、いわゆるフレイル層の治療を担うというのが事業展開の基本にある。地域の需要を常にリサーチしながら、「シームレス」なサービスのために必要な機関、施設を都度開設してきた。

 

グループの総合窓口としてコールセンターも設けており、問い合せに応じてグループ内外問わず適切な医療機関、施設を紹介するなどの取り組みも行っている。

 

 

病院の外観

 

 

 

――コロナ対応について

喜屋武 3室感染症対応の部屋を設けた。コロナ対応については2023年度以降補助金も終了し、医療機関の負担も大きくなる。うまくバランスを取りながら、できる限り対応していきたい。

 

 

 

 

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