【人事部に聞く採用戦略】新卒採用170名以上 リクルーターが就活伴走 アズパートナーズ
関東を中心に介護付きホームなどを展開するアズパートナーズ(東京都千代田区)は、年間3、4棟の新規開設もあり、2019年より新卒採用を強化。総職員数約1510人の1割を超える人数を採用している。22年度入社は174名、23年度入社は180名の見込み。さらに24年度入社は220名を目標とする。
これだけの新卒を採用するポイントは、学生一人ひとりに専任の担当者が付き、きめ細やかな支援をする「リクルーター制度」にある。
学生と信頼構築
同社はIoTを積極的に取り入れ業務効率化を図り、生み出した時間で介護職が本来専念すべき入居者への個別ケアに注力している点が特色。IoT活用に慣れており、学びの吸収が早く、新しい発想を持つ若手を採用すべく、新卒採用に力を入れている。
「数年先にはリーダー職を担ってもらうことを見据え、採用している」と総務人事グループの可知雅子ゼネラルマネージャー。総職員のうち、新卒入社者率は56.6%で、現に会社を支えている。リーダーを任せたいからこそ、採用する人物像は「自分の意見も言え、周りの意見も取り入れる、バランスのとれる人」。約9割が非福祉系学部の出身で、主に大学、短大、専門から採用している。

採用メンバーは計12名と手厚い配置。左から可知雅子氏、丸本弘基氏、齊藤萌氏、田邉有沙氏
選考は▽エントリー▽会社説明会▽一次選考(グループ面接で書類選考はなし)▽適性検査・最終選考(個別面接)▽内々定、といったフローで進める。
23年度入社の総エントリー数は約3000以上。エントリー数を増やすべく、4社の就活ナビサイト、成果報酬型のエージェントサービス、合同説明会、ダイレクトスカウトサービスなど多数の新卒採用サービスを利用。学校への直接アプローチも強化している。
中でもエージェントサービスからの採用は慎重に進める。専任するキャリアアドバイザー向けの会社説明会や施設見学を開催。学生に紹介しやすい資料や動画のツールなども提供し、情報共有を欠かさない。「キャリアアドバイザーに当社のファンになってもらい、マッチする学生にいかに魅力を伝えてもらうかが鍵」と可知氏。
特に同社が採用活動において強みとするのは対面での説明会だ。1〜4月にかけて十数回の合同説明会に参加。1回につきブースの着席人数30名を目標に掲げる。「『人と関わる究極の仕事』であるというメッセージを強調し、より多くの学生に興味を持ってもらっている」(可知氏)。
密に連絡重ねる 面談ロープレも
エントリーした学生に対し、綿密なアプローチをしていくのが「リクルーター」だ。採用チームは全体で12名。現場上りで20代のリクルーターが、学生一人ひとりに専任として付き、就職活動を伴走する。
そして電話・メール・LINEなどを通じ、各選考過程で必ず連絡し、面談も随時行っていく。「就活全般から趣味の話まで〝なんでも相談できるお兄さん・お姉さん〞のような存在を目指している」とリクルーターの丸本弘基氏は語る。選考の遷移率とともに電話架電数なども目標値を定めて実行し、勉強会や面談のロールプレイングを重ね、学生と信頼関係を築く力を磨いている。
最近の学生の傾向としては「自分らしく」「プライベートを大事にしたい」と望む人が増えているという。だからこそ、「〝一求職者〞として接するのではなく、リクルーターを通じて〝ほかでもない、あなたを見ている〞と伝える。入社後も一人ひとりが自分らしくwell-beingであることを重要視している」と可知氏。
WEB説明会の開催時には、施設とつなぐ生中継を実施。入居者と職員のやりとりなどを見てもらい、人と人とのつながりを大事にする現場の様子を、オンラインでも感じてもらう工夫をしている。
24年度入社に向けた策として、可知氏は「コロナ禍を通じ学生間で身近になったWEB説明会を今後も続けつつ、合同説明会を増やす、選考過程で施設見学を行うなど、対面で話す機会を一層強化する。学生にはより働くイメージを持ち就職を決めてほしい」と語る。ウィズコロナ社会での採用活動に挑戦していく考えだ。

他業界が揃う合同説明会にも積極的に参加