障がい者GH大手を買収 介護・福祉領域の再編進む リネットジャパングループ
東証グロース市場に上場しているリユース企業リネットジャパングループ(名古屋市)は3月1日、障がい者グループホーム大手のアニスピホールディングス(東京都千代田区)を子会社化すると発表した。株式譲渡日は4月1日を予定しているが、取得価格は今後詳細なデューデリジェンスを実施後に確定する。
リネット社発表の資料によると、アニスピHDの障がい者GH拠点は提携店を含め累積1200拠点・5000室。2022年3月期の売上高は約15億円、営業利益は約1.8億円となっている。アニスピHDは代表の藤田英明氏が16年8月に設立。戸建ての空き家などを改修した小規模な障がい者GHモデルを直営、また他法人とのレベニューシェアで多数展開して拡大してきた。
21年末には、東証スタンダード市場上場で持ち帰り寿司店を展開する小僧寿し(同中央区)に全株式を売却したが、翌年22年10月に藤田氏が全株を買い戻していた。
リネット社はリユース・リサイクルが主力事業だ。ネット中古書店の「ネットオフ」、パソコン・小型家電のリサイクルなどを手掛けており、22年9月期決算の売上高は約85.8億円。ここ数年は新規事業として福祉領域にも進出し、障がい者GH8棟、就労継続支援B型を2拠点運営している。
リサイクル事業で回収したパソコンの分解作業などで、知的障がい者の就労機会を創出してきた。また、障がい者GHを運営することで、障がい者の就労と住まいを提供する「環福(環境と福祉)連携」の取組を進めている。
同社は今後、アニスピHDにCFOや幹部人材の派遣、またM&Aを見据えた資金提供などにより成長を加速させていく考えだ。

新築や空き屋有効活用も
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介護業界同様、近年は障がい領域で再編の動きが目立つ。昨年末には、障がい者GH最大手で約150棟を運営していたソーシャルインクルー( 同品川区)を、投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループが買収している。
これとは対照的なのが、障がい者の就労支援などを手掛け東証プライム市場に上場するLITALICO(同目黒区)だ。今年に入り、高齢者のリハビリ特化型デイサービスを100拠点以上運営する企業を買収。高齢者介護領域に本格参入を決めた。
介護・障がい、医療も含めた保険ビジネスは制度リスク、人材不足への警戒感が増している一方で、M&Aなどを駆使して新規参入を検討する企業も増えている。投資ファンド、周辺業界を含めた再編はまだまだ続きそうだ。