菜園を手軽に 手や服 汚さない新材料 大建工業
強風でも飛散せず
大建工業(大阪市)は、従来の土壌に比べ半分程度の重量で、汚れにくい木質培地を活用した菜園提案を開始する。これまで重量や土の飛散などの理由から難しかった施設の屋上、バルコニーなどでも手軽に菜園を始められる点を訴求。園芸療法などとセットで利用を促す。
高齢者施設向けに提案する菜園・園芸療法サービス「みんなのエコ菜園」は、プランニングから材料一式の販売と施工、保守までトータルで提供するパッケージ商品。
特徴は、同社が2021年に開発した木質培地「グロウアース」だ。国産木材に特殊処理を施した培地で、野菜や花の栽培に適している上、土壌の半分から3分の1ほどの重量で、プランターごとの運搬も容易だ。
軽量だが木の繊維が強力に絡み合っているため、土のように風に飛ばされて周囲が汚れたり排水溝を詰まらせたりといった心配がない。風速50メートルの実証実験でもグロウアースは飛ばされなかったことから、近隣への影響が気になる住宅密集地でも安心して利用できる。また、土は処分の際、専門業者に有料で引き取ってもらう必要があるが、グロウアースは燃えるゴミとして処分することができる。

木材の繊維が絡み合う
高齢者施設においては、菜園活動は利用者から人気があるとわかっていながらも、清掃など付帯業務に人手が割かれることから二の足を踏む施設も少なくなかった。同社のみんなのエコ菜園は複数の高齢者施設でテスト利用を始めているが、土と違って手や服が汚れない点も評価のポイントとなっている。
施設の1階外にプランターを置いて利用している介護付有料老人ホーム「エクセレント神戸」の濱田聖貴施設長は「毎日の花の成長を気にかけて1階に下りてくる入居者が増えた」と話す。また、「プランターは子ども目線の高さ。花を通じて子どもや地域住民と入居者の何気ない会話が生まれる」と評価し、今後も利用を継続していく考えだという。
新型コロナの影響もあり、ここ数年は高齢者やファミリー層まで幅広い世代で花卉・野菜を育てる人が増えている。都市部でも公共の市民菜園や民間が手掛ける貸し菜園はあるが、適した土地がなく需要に応えきれていない。こうした層にも、手軽な「グロウアース」を使ったプランターでの自家菜園を提供できる。
「これまで重量や土の飛散などで屋上菜園などをあきらめていた施設にも検討してもらいたい」( 大建工業次世代事業開発部の秋葉裕太グループ長)
施設の入居者だけではなく家族や地域住民の家庭菜園を施設内に設けることで、外部との交流促進も期待される。
費用の目安は設置量・形状などにより変わってくるが、イニシャルで材工込み平米5万円から。

さまざまなレイアウトが可能。車いす用のプランターも