ターミナルケア増加 中重度対応、相応の報酬を 日本訪問看護財団 佐藤美穂子常務理事

2023年5月11日

 

 

2024年4月に迫った介護報酬・診療報酬改定。在宅領域での中重度、ターミナルケアへのニーズが増えている昨今、重要な役割を果たすのが訪問看護事業者だ。公益財団法人日本訪問看護財団(東京都渋谷区)の佐藤美穂子常務理事に、今後の介護保険制度への要望などを聞いた。

 

 

佐藤美穂子常務理事

 

 

アウトカム評価拡充 委託契約料増額求む

 

現時点で次期介護報酬改定に関しては、

▽非がん疾患の終末期や熱傷などの皮膚損傷を伴う外傷を特別訪問看護指示書の2回交付対象とすること

▽訪看ステーションが提出するLIFEの評価項目に「疼痛」「呼吸管理」「ターミナルケア」「苦痛・症状管理」などを追加し、アウトカム評価を拡充すること

▽介護保険で対応しない疾患一覧に「難治性潰傷などの皮膚損傷を伴う疾患」を追加し、医療保険で対応できるようにする

――などを求めます。

 

 

このほか、「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」との委託契約により提供する訪問看護において、特定施設から訪問看護事業所へ支払われる委託契約料についての見直しを要望します。

 

現状、委託契約料の財源となる委託元の特定施設への介護報酬は、訪問看護の基本単位のみです。しかし、利用者の重度化やターミナルケアの増加に伴い、夜間・早朝・深夜の訪問や、緊急時訪問が増えており、これらのサービス提供に相当する委託契約料が不可欠です。報酬体系の見直しが必要と考えます。

 

さらに、「看護体制強化加算」(全訪問看護事業者のうち6割以上が看護職員で、看取りや緊急時訪問看護加算、特別管理加算の対象者が一定割合以上あることなどを評価する加算)の算定要件の変更も望みます。看取り件数を介護と医療の通算で数えられるようになると、同加算が取得しやすくなります。

 

介護保険の看護系サービスは、やはり中重度要介護者の医療ニーズや看取りへの対応が強みです。

 

一方で、最近では「まちの保健室」や「認知症カフェ」を併設して、健康観察や健康相談などを通じた介護予防に取り組む事業所も増えてきました。訪問看護が地域での活躍の場を広げ、より良いサービスを提供できるよう、当財団としても活動を続けていきます。

 

 

 

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