【2023年デイサービス5選 受賞事業者に聞く】多店舗マネジメントに一手 AI活用で即時にノウハウ共有 3eee

2023年5月25日

 

 

 

2023年デイサービス5選に選ばれた3eee(札幌市)は、デイを中心に、介護から障害福祉事業まで全国で187拠点(21年1月時点)を展開する。リハビリ特化型デイ「カラダラボ」を多店舗展開するマネジメントにおいて、ナレッジ共有プラットフォーム「Dr.ZNOO」を開発し、昨年より運用を開始している。即時のノウハウ共有に強みを持つ同システムの活用について、話を聞いた。

 

 

 

左から事業統括本部の鳴海誠部長、澤田好美氏

 

 

マネージャー業務 年80%削減

 

「カラダラボ」は現在90拠点あり、うち8割超がフランチャイズでの展開だ。「事業所が増えるほどにサービスの質が向上し、事業所ごとに力を付けられるマネジメント方法を模索してきた」と事業統括本部の澤田好美氏は語る。創業時よりグループ専用サイトを通し、事例の共有や質問への対応、研修動画の配信などを行ってきた。

 

一方で、特定の人でないと更新できないことやブラウザ版のみの対応であることなどが課題となっていた。加えて、全国の事業所と本部とのパイプ役を担うマネージャークラスの確保や育成は、困難であり時間もかかる。こうしたことから、ナレッジを共有するプラットフォームとして、17年に「Dr.ZNOO」の開発に着手。昨年運用を開始した。

 

 

Dr.ZNOOにはAI自動応答システムを搭載し、手間を最小化しながら他事業所での再現性を高めている。ポイントは、AI自動応答システムで各事業所から過去に問い合わせがあった質問を深堀した上で、資料とともに回答する点。創業より10年間培ってきた、約3000事例ものノウハウが蓄積されている。

 

検索されたテーマで最も多いのは「新規利用者獲得の事例」。再現性を高めるため、成功している事業所の取り組み例や参考資料を基に、管理者が自力で答えにたどり着けるよう導くことを重視する。知りたい情報を得られたことを示す「回答到達率」は90%を超える。

 

事業所を運営する上で最大の課題は「行動に移せないこと」と澤田氏は話す。この背景には、忙しさや個人の能力への依存などの事情がある。これらの課題に対しDr.ZNOOでは、基礎学習の知識共有から具体的な行動計画立案までをサポートし、実際に使用するツールも提示できる。

 

 

 

Dr.ZNOOの参考画面。動画コンテンツも充実

 

 

 

Dr.ZNOO導入により課題を自己解決できる事業所が増えたことで、年間約80%のマネージャー業務が削減。人件費、活動費などのコストに換算すると、年間約3400万円もの削減に成功している。「こうして生まれた時間により、マネージャーは新規店開設に集中して取り組むことができている」(澤田氏)。数千万円の開発投資額についても、人件費の合理化と後の資産価値から考えて、すでに回収済みという。

 

今後は、▽AI自動応答システムへのオペレーター配置▽フリーワード検索履歴の解析▽各事業所からの事例報告機能追加▽内部監査機能の追加――などさらなるバーションアップに着手していく。回答到達率100%を目指す考えだ。

 

 

さらに22年11月、函館市にて新規事業を開始。中重度対応デイと児童デイ、居宅介護支援、就労継続支援B型、カフェ・商店などが一体となった多世代複合施設「百年の森 函館」だ。「ここでもDr.ZNOOを導入することで、目標売上達成から黒字化まで、最短で導くことができると期待している」(事業統括本部 鳴海誠部長)

 

 

 

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