人材紹介、規制強化へ「就職お祝い金」禁止など 財政制度等審議会
財務省は5月11日、財政制度等審議会・財政制度分科会を開催した。各論として、「こども・高齢化等」をテーマとした議論を展開。介護に関しては負担と給付に関する内容のほか、サービス付き高齢者向け住宅におけるケアマネジメントなどの適正化に加え、①人材紹介会社の規制強化②アウトカム指標の強化――について提言がなされた。
アウトカム重視の枠組へ
① 人材紹介会社の規制強化
人材不足が喫緊の課題となっている介護業界の人材採用に当たっては、5割の介護事業者が民間の人材紹介会社を活用している現状。しかし、年収の30%程度が手数料の相場水準となっているため、結果として、一部の人手が不足している事業者が高額の経費を支払っている状況だ。また、「人材紹介会社を介して採用した人材の離職率が高いとする調査もあり、必ずしも安定的な職員の確保につながっているとは言い難い」と課題を提起している(図①参照)。
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出所:厚生労働省「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査(2019 年12 月)」厚生労働省「令和3 年雇用動向調査結果」
「介護職員の給与は公費(税金)と保険料を財源としており、本来は職員の処遇改善に充てらるべきもの」との考えから、財務省は介護事業者向けの人材紹介会社について、「一般の人材紹介会社よりも厳しい対応が必要」と言及。▽本人への「就職お祝い金」の禁止など現行の規制の徹底▽手数料水準の設定――などの具体策を挙げた上で、「ハローワークや都道府県などを介した公的人材紹介を強化すべき」との点にも触れた(図②参照)。
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出所:独立行政法人福祉医療機構「特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査結果(2022 年度)」
②アウトカム指標の強化
また、介護保険法では、要介護者が「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」介護サービスを行うとされているが、現在の介護報酬は要介護度が進むにつれて報酬が高くなる一方、自立支援・重度化防止に係る取組への評価が不十分である点も論点となった。今後、介護保険法の趣旨に照らして、自立度や要介護度の維持・改善などアウトカム指標を重視した枠組みとしていくよう提言した。
具体的には
▽ケアマネジメントでは、要介護度3〜5の基本報酬(約1万3980円/月)が要支援(約4380円/月)の3.2倍となっているが、実際の利用者1人当たり/月の労働投入時間で見ると、要介護3(114.8分)は要支援1(89.2分)の1.3倍程度に過ぎない
▽特定事業所加算の要件に「要介護度3〜5の利用者の割合が4割以上」が含まれるなど、要介護度3〜5への評価が手厚い
▽インセンティブ交付金は、自立支援・重度化防止に向けた保険者の取組を推進するものであるが、現状はアウトカム指標の割合が小さく、要介護認定率の改善などの成果に結び付いているとは言い難い
――などの点を課題と捉え、改善を図る構えだ。